地産地消や郷土料理といった従来の概念から離れ、進化した旬なオーベルジュに注目。土地の滋味や文化を目で舌で、五感で味わおう。
日本の三大料理民宿と称された
「さんなみ」が衣替え
●民宿ふらっと
新幹線のおかげで金沢の旅はぐんと身近になったが、その先の能登はまだ少し遠い印象。でも、調べてみると羽田から能登までわずか1時間、たまにはひとり旅も気楽かも、と思い立ち、一路能登へ。
目指したのは海を一望する「民宿ふらっと」。
実はここは、かつて日本の三大料理民宿と称された郷土料理の宿「さんなみ」があった場所。
娘である智香子さんがそのスピリッツと建物を受け継いだが、料理は和から離れ、オーストラリア人の夫・ベンジャミンさん(以下、ベンさん)が繰り出す“能登イタリアン”に。
「能登特有の発酵食品に出合って魅了されたベンさんが、私の両親に弟子入り。昔ながらの郷土の味や文化が薄まらず、伝わっているのが能登のよさなんです」と智香子さん。
2019.02.07(木)
Text=Kaori Minetsuki
Photographs=Tamon Matsuzono