毎年大好評のCREA「ひとり宿」特集が、2019年も発売になりました。その中から、特に注目したいこの1年間にオープンした施設についてレポートしたページを特別に転載。誌面には掲載できなかった情報も加え、たっぷりご紹介します。
●箱根本箱
[神奈川・箱根強羅温泉]
本棚と本読みスペースがいっぱい
とっておきの一冊が見つかる
この後の雑事はない、急かされることもない。立っても座っても、なんならベッドででもいい。くまなく、心おきなく、泊まりがけでとっておきの本を選ぶ。待っているのは極上の「食べて、寝て、憩う」だけ。
もともと、出版の流通会社「日販」の保養所だった場所をリノベーション。新潟の「里山十帖」を経営する「自遊人」との協働でプロジェクトチームを組み、3年の歳月を経て2018年夏、完成した。
ロビーやラウンジ、ショップはもちろん、廊下や部屋にまで、そこかしこにある1万2,000冊の本、本、本。
「ここにある本で、買えない本は一冊もありません」とスタッフの窪田美穂さん。
日販のブックディレクションチーム「ユアーズ・ブックストア」をディレクターに、個性派書店や著名人による様々なテーマや視点で選ばれた「読み物として面白い」タイトルが交錯する。
エッジの効いた選書に夢中になり、気づけば本の森に入っていくような、新しい自分を発見するような体験に感動。
気になった本を手にとると、その隣の本も気になったり。目的買いでない読書の楽しみを思い出させてくれる。
2019.02.04(月)
文=山村光春
撮影=衛藤キヨコ