数年前、レストランで出されるスモークの香りをまとわせたお料理や瞬間スモークの一品が話題になりました。

 それまでもベーコンやサーモンなどのスモーク独特の燻香は多くの人に好まれてきましたし、近年は、炭火焼きや燻製に特化した飲食店も人気を集め、ちょっとしたスモーク料理ブーム。

 そんななか、スモークしたスイーツのお店を発見。その名も「燻製菓子店」。

 お店があるのは、京都市山科区。最寄りは、京都市営地下鉄東西線の椥辻駅で、駅から西へ徒歩約10分の所。

 扉をがらりと開けると、小さなお店の中は、ほんのりとスモークの香り。スイーツのお店らしくない芳香にびっくりします。

 「開業は2018年4月6日。山科区東野にある燻製専門店『燻製マーケット』の姉妹店として、また、燻製スイーツを作る工房としてオープンしました」と、代表の石本久子さん。

 食べることが大好きな石本さんは、25歳の時、「たこ焼き屋をしてお金を稼ぎながら世界一周をしよう」と計画。

 スポンサー探しをしながら、おいしさを追求するうちにオーガニックに目覚め、大阪・北新地の路上でゲリラ的にオーガニックのたこ焼き屋を始めます。繁盛しすぎて、路上でできなくなった時に、燻製に出合いました。

「友人手作りのスモークサーモン。ワインとクリームチーズとあわせて、とってもおいしかった」

 自分でスモークサーモンやベーコンを作り始めると、「手間暇かかるけれど、これがなかなかおいしい(笑)。極めようと思ったんです」。

 2012年から「燻製マーケット」という名前で車で移動販売を始め、人気になりました。結婚して、京都に移った石本さんは、2015年、燻製を使ったメニューを供する実店舗「燻製マーケット」をオープン。

 「目の前でおいしいという声を聞けるのがうれしくて」とにっこり。「スタッフが全員2児の母親なので、基本は18時までの昼営業。月1回だけ夜営業しています」。

 石本さんが工夫を重ねた「燻製ナッツの蜂蜜漬け」など、燻製の商品をもっと広く販売したいと、スイーツも作るようになり工房兼販売店をオープンしたのでした。

 燻製スイーツは、石本さんが創作したものだけでなく、店長でパティシエの田中詩織さんらスタッフのアイデアで次々新作が登場。

 チョコやナッツはもちろん、タルトやバターサンド、焼き菓子、さらに芋けんぴや柿ピーなどもあって、実に多彩。食べ飽きることがありません。

 「ウイスキーやブランデー、ワインのお供にもぴったりですよ」と石本さんはにっこり。

2019.01.16(水)
文・撮影=そおだよおこ