【BLと地続きの
 オメガバースを読む。】

 オメガバース(Omegaverse)とは、海外の英語圏から生まれた特殊設定です。主な設定には、男性の妊娠出産、発情期、性別間の階級社会などがありますが、ただし厳密ではなく作者ごとにルールを改変して作品を創るのが特徴で、日本ではBLレーベルから多く発行されています。オメガバースは狼の群れ社会をモデルとし、男女の性別に加え、優秀で君臨者たるα、中間層のβ、最下層で生む性のΩという3つの階層を持つ世界です。また、Ωは男性でも出産でき、頂点に立つαは発情期のΩのフェロモンには逆らえないといった設定がドラマを生みます。

 ある意味、出産に関する思考実験なのかもしれません。オメガバースを読むなら、丸木戸マキさんの『オメガ・メガエラ』がおすすめです。作者曰く、本作はBLではないそうですが、BL要素もありつつ、愛憎でドロドロな人間関係の超豪華昼メロ仕上げになっていて、全員ひと癖ありそうなイヤな人間ばかりが登場し、めちゃくちゃおもしろい。また丸木戸さんは、αはΩを母体にしなければ生まれないという独自ルールを付け加えていて、それがまた物語性を高めています。財閥一家である英家の長男でαの征十郎とΩの犀門は運命の相手として恋に落ち、婚姻を結ぶが、αを生む宿命を背負うΩの人生は、αの子どもを持てるか否かにかかっていた。子がない犀門は第三夫人に降格し、蔑ろにされ毎日が針のむしろであった。しかし、圧倒的支配者の英家当主・善治郎の命により養子を持つことになる。征十郎の愛を得たい犀門と英家に復讐したい養子の馬宮の反撃がいま始まる!

『オメガ・メガエラ』 (既刊1巻)

子を産むための性であるΩ。Ωでありながら子が出来ず、引け目を感じる犀門に、自分の子どもを持てるチャンスが訪れる。しかし養子に取った息子には秘密があった。犀門はα一族・英家にとってメガエラ(復讐の女神の名)となるのか?
丸木戸マキ 講談社 620円
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福田里香(ふくだりか)

お菓子研究家。『R先生のおやつ』(文藝春秋)、『まんがキッチン おかわり』(太田出版)、文庫版『まんがキッチン』(文春文庫)が好評発売中。

Column

BLマンガ基礎講座

BLはボーイズラブの略。ざっくり定義を述べると「主に女性の読者に向けて描かれた男同士の恋愛をテーマにした作品」。実は名作が満載のこのジャンル、食わず嫌いはもったいない!

2018.10.31(水)
文=福田里香

CREA 2018年11月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

101人の本と音楽とコーヒー。

CREA 2018年11月号

人生をちょっと自由にする、心の「スイッチ」
101人の本と音楽とコーヒー。

定価780円

慌ただしい毎日に、ちょっとひと休み。本と音楽とコーヒーを愛する101人に、大切な1冊、1曲、1杯を教えてもらいました。ちょっとだけ自由な気持ちになれたり、自分らしくいられるような、皆さんの心の「スイッチ」をご紹介します。

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