東洋一のサウンド・マシーン、クレイジーケンバンドを率いる横山剣さん。その常人の域を超えた旺盛なクリエイティヴィティにインスピレーションを与える源泉のひとつが、魅力的な女性たちの存在です。これまでの人生で恋し憧れてきた、古今東西の素敵な女性について熱く語ります!


#005 松任谷由実 (中篇)

2013年12月に国立競技場で行われたラグビー早明戦の試合後、ユーミンはラグビーを題材とした自らの楽曲「ノーサイド」を熱唱した。(C)文藝春秋

松任谷由実(まつとうや ゆみ)

1954年、東京・八王子生まれ。72年にシングル「返事はいらない」で荒井由実としてデビュー。76年には松任谷正隆と結婚し、松任谷由実に改名。「ひこうき雲」「あの日にかえりたい」「恋人はサンタクロース」「守ってあげたい」「真夏の夜の夢」など、無数の名曲を世に放つ。これまで発表したオリジナルアルバムは全38作品。2018年、第66回菊池寛賞を受賞。

 ユーミンの楽曲から鮮烈に伝わってくるのは、出身地である八王子ならではの感覚です。

 中央線沿線ではあるけれど、いわゆるフォークのイメージが漂う阿佐ヶ谷や吉祥寺とは違う。多摩川がだんだん清く澄んだ上流になっていって、多摩丘陵が風景に溶け込む、都下の雰囲気が色濃いんですよね。

 僕が生まれ育った横浜と八王子は、JR横浜線でつながっている。そこに奇縁を感じましたね。

 八王子には、大正・昭和の天皇陵など、パワースポットも少なくない。ユーミン自身にも、シャーマン的なオーラを感じます。中沢新一さんと細野晴臣さんの対談集『観光-日本霊地巡礼』では、ユーミンはアメノウズメノミコトになぞらえられているぐらい。

 多摩地区を歌った曲には特に名曲が多い。「雨のステイション」というせつない楽曲は、西立川駅がモチーフ。「LAUNDRY-GATEの想い出」は、かつて立川に存在した米軍基地のゲートについて歌っています。

 そして、言わずと知れた「中央フリーウェイ」。中央自動車道に乗ってあの歌の舞台となった場所を通るたび、右に見える府中競馬場と左にあるサントリーのビール工場を確認してしまう。その瞬間、全身に電気が走りますね。ごく平凡な風景に、ユーミンの魔法がかかる。

 同じような意味で、横浜は山手のレストラン「ドルフィン」を訪れ、ソーダ水の中を貨物船が通る様子を確認している人もたくさんいるでしょうね(笑)。こちらは「海を見ていた午後」で歌われています。

2018.11.08(木)
構成=下井草 秀(文化デリック)

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