『タカラジェンヌの美の秘密、教えます 宝塚式「品格」レッスン』を上梓した元タカラジェンヌの初嶺麿代さん。フィットネススタジオ「ジェンヌスタイル」の総合プロデューサーという立場から、美しい品格ある女性になるための方法、思考レッスン、実践メソッドを本の中で紹介しています。楽しみながら日常に取り入れて、美人を目指しましょう。

» 1回目 ジェンヌ式ご挨拶に挑戦
» 2回目 男役ポーズに挑戦


 13年間宝塚歌劇団で男役として過ごした私、初嶺麿代は、2017年6月に池袋にオープンしたフィットネススタジオ「ジェンヌスタイル」の総合プロデュースをさせてもらうことになりました。

 このスタジオは、「講師は全員元タカラジェンヌ」という日本初の試みとしてスタートしました。

 フィットネスといっても、ただエクササイズをするのではありません。タカラジェンヌのエッセンスを取り入れたヨガ、バレエ、ダンスなどのクラス、「なりきりタカラジェンヌ」という、宝塚やミュージカル、煌びやかなレビューのショーシーンを疑似体験するクラスなど、楽しみながら女性の品格を身につけていただくことを目的とした、他に類のない新感覚のフィットネススタジオのかたちを目指しています。

 『タカラジェンヌの美の秘密、教えます 宝塚式「品格」レッスン』の中から、自信と品格をまとうジェンヌ式のふるまいや考え方をご紹介します。

何度も鏡で
自分の表情をチェックする

◆意識していない時の顔は
 自分でも驚くほどのこともある

 みなさんは日頃、道を歩いているとき、仕事をしているときや友人と話しているとき、自分がどんな顔になっているか、人からどう見られているか、意識していますか?

 常に美しい表情を保てている自信がある人は、どのくらいいらっしゃるでしょうか?

 鏡を見るのはメイクをするときや落とすとき、お手洗いに行ったときくらい、という方も意外と多いのではないでしょうか。

 これまで、品格ある美を身につけるために、表現力がいかに大切かを繰り返しお伝えしてきました。特に表情というのは、そのまま他人へ与える印象になりますから、非常に大切なものです。とはいえ、頭では分かっていても、鏡を見なければ自分の顔は見えないがゆえに、つい意識することを忘れてしまうものでもあります。

 意識をしていないときの表情というのは、自分でも驚くような顔をしているものです。

 お客様には、一日何回も鏡で表情をチェックするようアドバイスしています。何かに集中しているときなど、険しい顔や崩れた姿勢になってしまいがちです。眉間のシワや口角が下がったことでついたシワは、日々の積み重ねでどんどん深くなっていきます。気が付いたときに表情を緩めてあげましょう。そのためには、まず鏡を頻繁に見る癖をつけること。

 常に鏡を持ち歩く、仕事机に置いておく、お手洗いに行く回数を増やすなど、自分なりに工夫してみてください。

 そして、毎日、笑顔の研究もしてみてください。練習なくして実践することはできません。笑顔の練習を続けていれば、自分が意識していない瞬間にも、美しい表情を保つことができるようになりますよ。

◆負の感情にとらわれない
 自分で立ち直るしか道はない

 人は、自分ではどうしようもなく、どす黒くてネガティブな感情に支配されてしまうことがあります。

 私は、自身のスタジオで、宝塚音楽学校を受験する生徒も教えています。子どもたちは夢に向かって必死に努力していますが、残念ながら、受験した生徒が全員合格するわけではありません。とても狭き門なのです。

 子どもたちは全身全霊で立ち向かっているからこそ、結果が出なかったとき、簡単に気持ちの整理はつきません。傷ついた結果、他人に嫉妬することもあります。

 なんで自分が、なんであの子が……。その負の感情のループから抜け出すことは容易ではありません。

 子どもだけではありません。大人でも、頑張っている人ほど、ちょっとしたことで、ネガティブな感情にとらわれることがあります。

 そういうとき、ネガティブな感情は、そのまま表情に表れます。普段、とても素敵な人なのに、恐ろしい表情になってしまっている人をたくさん見てきました。思考ひとつで表情は激変してしまうのです。

 逆に言えば、思考ひとつで美しい表情の人にもなれます。思考を変えれば、表情が、外見が、変わっていくのです。

 愚痴を言い続けても、他人を羨んでも、それはそのまま表情に出るだけで、結果が変わるわけではありません。

 どんなに辛くても、自分で立ち直るしか道はないのです。愚痴を言っても言わなくても、同じ一年が過ぎていきます。どちらのほうがより良い人生を送れるか。そう考えて立ち直るしかありません。

 自分ひとりで頑張れという意味ではありません。ときに人に助けてもらいながらでもいいと思うのです。落ち込んだときには、なかなか負の感情のループから抜け出せないですし、自分を客観的に見ることもできません。

 自分の表情がどんな恐ろしいことになっているかなんて、なおさら気付けないでしょう。

 だからこそ、日頃から自分の表情を頻繁にチェックすること、意識して美しい表情をつくることを習慣にしておけば、自分の気持ちの変化に気付くきっかけになると思います。

 品格のある人は、そうやって、負の感情にとらわれたままにしない術を持っているのです。

『タカラジェンヌの美の秘密、教えます
 宝塚式「品格」レッスン』

著・ 初嶺 麿代
1,400円+税 文藝春秋

» 購入はこちらから(文藝春秋BOOKSへリンク)

初嶺 麿代(はつね まよ)

1974年静岡県生まれ。92年に宝塚音楽学校へ入学。94年に宝塚歌劇団入団、雪組配属。98年、宙組発足メンバーとして組替え。男役スターとして活躍、2007年に宝塚歌劇団退団後はミュージカルや舞台を軸に女優として活躍。14年に自身のスタジオ「Dance & Fitness Studio HatsuNe」を東京・学芸大学にオープン。15年より宝塚受験コースを開講し、後進の指導、育成を本格的に開始。1年目より宝塚音楽学校に合格者輩出。17年、講師が全員、元タカラジェンヌという日本初のフィットネススタジオ「ジェンヌスタイル」が池袋にオープンし、総合プロデュースをつとめる。