日本文化の多様性と美意識をフランスの地で紹介する文化芸術の祭典「ジャポニスム2018:響きあう魂」。このスタートを飾る「深みへ-日本の美意識を求めて-」展(国際交流基金主催)が、2018年7月14日(土)~8月21日(火)、ロスチャイルド館と呼ばれるオテル・サロモン・ドゥ・ロスチャイルドで開催された。

元貴族の館・ロスチャイルド館で古今東西のアートが対峙、あるいは融合する。

 東京都現代美術館参事・東京藝術大学教授の長谷川祐子氏をキュレーターに迎え、19世紀に建てられた貴族の館で展開される「深みへ」展は、その空間性を最大限に生かし、時代や地域、分野の違う作品を対峙・融合させながら、日本文化に通底する美意識や哲学を表現する、画期的な展覧会。

 かつてのブルジョワが愛した、優雅な意匠に彩られた邸宅を舞台に、25組のアーティストとグループによる100点以上の作品が用意され、パリジャンたちの注目を集めた。

入り口で迎えるのは、宮田亮平氏による真鍮製の銅鑼。邸宅内の白い壁によく映える。

時代や地域、ジャンルを超えた
芸術家たちによる美の共演

 「ジャポニスム2018」のサブタイトルである「響きあう魂」は、劇作家で詩人、1920年代に駐日フランス大使もつとめたポール・クローデルの言葉からとった、全体のコンセプト。それに対するオマージュとして、“響き”をテーマにした大巻伸嗣氏による作品が、1階エントランスで展開された。

顔料を用いて描かれた菊や桐、桜、桃、鶴などが華やかに咲き、舞い踊る。

 桜や桐、桃や菊、鶴や蝶などの花鳥が美しく舞う様子は、まさに地上に現れた楽園。

 白いフェルトの上に、染め物や織物で馴染みのあるモチーフが、日本画の画材である“顔料”を用い、繊細に表現されている。顔料は鉱物などを砕いて粒子状にしたもので、光を反射し、その時々で微妙な色の変化や輝きが生まれる。

 呉服屋を営む家庭で育った大巻氏は、幼少期の着物の記憶や、アジアやヨーロッパの旅で見つけた柄を少しずつ取り込んでいるという。

 「複数の文様がこの中に一体となって響いていますので、展覧会のステートメントとして展示しました」とキュレーターの長谷川氏は説明する。

 来場を祝うかのように鳥が歌い、花が舞う。エントランスを飾るにふさわしい作品だ。

吹き抜けになっているエントランスの天井から自然光が差す。顔料が光を反射して、微妙な変化を生む。

文・撮影=景山由美子