知る人ぞ知る美食の国、マレーシア。この連載では、マレーシアの“おいしいごはん”のとりこになった人たちが集う「マレーシアごはんの会」より、おいしいマレーシア情報をお届け。

マレーシア人のカレー使いは天才的

 日本でカレーといえば、インドカレー、タイカレー、最近はスリランカカレーでしょうか。共通しているのは、日常的にカレー(とは何? という議論は置いておいて)を食べている国の食文化、ということ。これらの国と同じぐらい、朝から晩までカレーを食べているのが、私たちが偏愛するマレーシアです!

 マレーシア人のカレー使いは天才的。ご飯にかけたり、ソースにしたり、麺のスープにしたり、つけこみ用のタレにしたり。いうなればカレーは、ふりかけやジャム、いや、日本人にとってのしょうゆぐらい身近なもの。

店頭に料理が並ぶマレーシアのレストラン。メニューの半数近くをカレーが占める。
マレーシアは、国民の10人に約1人がインド系の民族。19世紀ごろに、彼らがもちこんだカレーが、今や全国民の日常食になった。

 このように“毎日カレー”のマレーシアで、人気No.1のメニューがチキンカレー。今回紹介する東京・八丁堀のマレーシア料理店「マレーカンポン」の看板メニューです。

「マレーカンポン」のチキンカレー850円(ランチ850円/ディナー972円どちらも税込)は、リピーターが多く、とくにランチでは客の半数近くが注文。保温性を保つため、土鍋で提供される。

 食べた瞬間、野菜と鶏のうま味がじわっと広がるコク深さ。鶏肉はやわらかく、素揚げのじゃがいもはホクホクの食感。

 マレーカンポンのカレー作りは、玉ねぎ、にんにく、レモングラス等をミキサーでペーストにするところからスタートします。それらを時間をかけて炒めることで、野菜の甘みを引き出します。また、現地ではサラサラとした水分の多いカレーが主流ですが、このカレーは、とろみがしっかりついているのも特徴。

日本のカレーに近づけるために、ココナッツミルクのかわりに濃度の高いココナッツクリームを使用し、とろみを出している。
チキンカレーを作って20年以上のベテランシェフ、ムスキさん。マレー半島の東海岸に浮かぶ美しい島の出身。カレーに合うドリンク「テタレ(甘いミルクティー)」を作るのも得意。

 ムスキさんによると、この店で初めてマレーシアカレーを食べる日本人も多いのですが、みんな「おいしい!」と喜んでくれるとのこと。よく聞いてみると、なるほど、日本人になじみ深い、あの調味料も入っていたのです!

2018.02.15(木)
文・撮影=古川 音(マレーシアごはんの会)