宇宙人役に挑んだ黒沢清監督作

――あまりイメージのない“先輩感”はどのように出していったのでしょうか?

 最初に監督にお会いしたときに、「高橋は松岡修造さんみたいなタイプだから!」と言われたんです。松岡さんとはCMで共演させてもらっていましたが、「どういうこと?」と思いました。単に熱血感に溢れてまっすぐな人という意味だったんですが、いろいろと大変ながらも演じることができましたね。先輩感は声や立ち方を意識したり、逆に「今までああいうアプローチをしてきたから、年下に見えてきたのかな」と思ったりして作っていきました。

――そして、同月には黒沢清監督の『散歩する侵略者』も公開されますが、地球侵略を企む宇宙人役だっただけに、過去最高に難役だったのでは?

 当たり前ですけど、宇宙人の演技には正解がないんですよね(笑)。黒沢監督も、あまり役について話されない方で、自分が作り出した宇宙人のキャラで進めていったんですが、正解なのか分からないまま進んでいく感じが大変でした。ただ、不安なままではダメなので、「何も言われないからOKなんだ」と強く思い込んでいましたが、完成した作品を観た後も、どこか心配でした。

――とはいえ、いちばんアニメやコミック的なキャラだけに、高杉さんの引き出しから演技に役立ったものもありそうですよね。

 あれだけアニメやマンガを観ているのに、自分の引き出しの中からはあまり出てこなくて、「姿かたちのない侵略者だからこそ、天野にのりうつったときには、こういう言動をするんじゃないか?」みたいなことを考えて作っていました。ただ、かなりの策士にみえて、じつは何もやってないんですよね。アクションも、通信機器を作るのも全部、(共演の)恒松(祐里)さんがやっているという(笑)。とにかく、ほかの役者さんがやったら、全然違うキャラになったんじゃないかと思います。

2017.12.22(金)
文=くれい響
撮影=橋本 篤
スタイリスト=石橋修一
ヘアメイク=堤紗也香