世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。

 第172回は、たかせ藍沙さんが美味を求めて近江を旅します!

余呉湖を望む憧れの美食宿へ!

余呉駅では、ホームから駅舎までは線路を渡って行く。周囲が自然に囲まれていることがよくわかる。

 東海道新幹線の米原駅からJR北陸本線で約30分、京都からならJR琵琶湖線が北陸本線に乗り入れていて直通で約1時間半。小さな余呉駅の駅舎には、日本全国から美食家たちが降り立つ。目指すのは「徳山鮓(とくやまずし)」。琵琶湖の北にある小さな湖、余呉湖のほとりにある和のオーベルジュだ。

小さな駅だけれど、PASMOも使うことができる。

 「徳山鮓」は、京都の料亭で修業した徳山浩明さんが妻の純子さんとともに2004年に開業した宿泊施設付き料理店。その背中を押したのが、日本発酵機構余呉研究所長を務めていた発酵研究の第一人者、小泉武夫氏だ。

 ご主人の徳山浩明さん自ら余呉湖に船を出し、山に入り、地元の食材を集め、なれ鮓をはじめとした手間を惜しまない料理を提供している。

伝統的な日本家屋の「徳山鮓」。
小さな瓦屋根に守られた玄関に「徳山鮓」と書かれた暖簾が掛けられている。やっとこの暖簾をくぐれる!

 「徳山鮓」へはずっと行きたいと思っていたものの、なかなかご縁に恵まれずにいた。「平日なら予約が取りやすいよ」と友人に言われて呑気に構えていたところ、テレビの人気番組で取りあげられたことで、いよいよ予約が取りづらくなった。

 そんな折、「ひとり空きがあるのだけど、どう?」とお声がけをいただいた。その瞬間から心が躍っていた(笑)。スケジュールを調整してなんとか時間を作ったことは言うまでもない。

 当日は、午前中は仕事されている方もいらっしゃるとのことで、夕食の時間に間に合うように現地集合となった。そこで、少し早めに出かけて、同じ滋賀県の「セジール」で肉ランチを楽しんでから余呉へと移動した。

 旅の目的は、ずばり「食」。肉と魚、県内の達人の店をハシゴしたのだ。実際に訪ねてから聞いたことだけれど、どちらもゲストにお互いの店を勧めている仲だという。

まずは余呉湖へ。静かな水面の先に街の灯りが見える。この湖の賜り物を今晩いただくのだ。
「徳山鮓」の大きなウッドデッキからも湖を一望できる。

 余呉駅から「徳山鮓」までは、迎えに来てもらった車で3分ほど。私が到着したときにはまだ少し明るかったので、荷物を置いてすぐに余呉湖へと散策に出かけた。漁師さんと思しき方が、すれ違いざまに軽く会釈してくださった。小さな集落ならではの温かい空気が流れている。

玄関を入ってすぐの居間。ここには過去に「徳山鮓」の記事が掲載された雑誌なども置かれている。
展望露天風呂。小さいけれど見晴らしは抜群だ。

 「徳山鮓」に戻ると、同宿の皆さんが次々と到着した。館内をご案内いただき、夕食前に露天風呂へ。この小さな露天風呂からは余呉湖を見渡すことができる。客室は、トイレと洗面台だけのものと風呂付きがあるが、この展望露天風呂があれば客室の風呂は不要かもしれない。

廊下の灯りにも趣がある。

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2017.12.27(水)
文・撮影=たかせ藍沙

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