星野リゾート ロテルド比叡(後篇)

 日本の地方の魅力を掘り起こし、プロデュースすることで日本の観光に一石を投じてきた星野リゾート。その各施設を訪れ、地方らしい遊び方、旅の仕方を再発見していこうというシリーズが「日本を遊ぼう!」。今回は、比叡山に立つ絶景オーベルジュ「星野リゾート ロテルド比叡」を紹介する後篇。このホテルでも味わうことができる近江名物の秘密に迫ります。

延暦寺でのお勤めと
チーズ作りに励む朝

早朝、朝もやの立つ比叡山は美しく、身が引き締まるような清々しい空気。撮影:小野アムスデン道子

 天台宗総本山にして、世界遺産に登録されている延暦寺。その続き地に立つ「星野リゾート ロテルド比叡」は、延暦寺とのゆかりも深く、早朝6時30分から7時に行われるお勤めは、宿泊ゲストにだけ許される特別な体験。しんとした朝の空気の中、根本中堂に厳かな読経が響き、手を合わせて拝むと心持ちも清らかに。送り迎えのバスがあるので、ぜひ一度体験をおすすめする。

早朝のお勤めに延暦寺の根本中堂へ(根本中堂は2017年現在改修中だが、見学は可)。

 朝のお勤めを終えてホテルに戻るとちょうど朝食の時間。「星野リゾート ロテルド比叡」では、遣唐使が持ち帰ったとされるお茶やゆばを使って工夫を凝らした“比叡山の朝食”が楽しめる。

とろりとした比叡ゆばのサラダ、「日枝の霊水」を使ったブルーベリーゼリー、スクランブルエッグやハム、ベーコンとボリューム満点の朝食。

 朝食後、10時からは地元の竜王町にある古株牧場のチーズ職人直伝レシピによるチーズ作りを体験できる(10:00~10:45/1名1,000円、毎週火・土曜日に開催)。チーズは、新鮮な牛乳を酵素で固めて水気を切ったカードを、湯で温めて練りながら作る。ミルクを発酵させて出来上がる、チーズの最終段階が実感できる。

これがチーズ作りに必要なアイテム。
温めると柔らかくなるカードを、丸めたり伸ばしたり。

 丸いモッツァレラチーズと細く裂けるストリングスチーズ、出来立ての2種類のチーズを、柚子胡椒ドレッシングやみたらしだれ、ジャムなど6種類の調味料で試食。もちもちでフレッシュな味わいを楽しめる。

出来立てのチーズをいろんな調味料で試食。なかでもスパイシーな柚子胡椒はぴったり。
日本で発案されたというストリングスチーズ。こんなに細く裂くことができる。

2017.06.18(日)
文=小野アムスデン道子
撮影=鈴木七絵