額に稲妻の傷跡をもつ魔法使いの少年の物語『ハリー・ポッターと賢者の石』が英国で出版されたのは、1997年のこと。当時は無名の作家だったJ・K・ローリングによる初版わずか500部から始まったハリー・ポッター・シリーズ全7巻は、この20年間で世界80言語に翻訳され、総計販売部数4億5000万部以上という歴史的な数字を記録、映画も大ヒットを博しました。

 子どもだけでなく、大人をも魅了したこの作品のマジカルな世界に浸れる、英国内のスポットを巡る旅へとご案内しましょう。

あのシーンの背景はここ!
オックスフォードでロケ地めぐり

クライスト・チャーチの外観。ここで多くのシーンが撮影されました。(C)Ralph Williamson and Christ Church

 ロンドンから電車でちょうど1時間。オックスフォードは、言わずと知れた大学の街です。オックスフォード大学は、38の異なるカレッジからなる総合大学で、およそ2万3000人の学生たちが学んでいます。教育機関としての礎が築かれたのは1096年頃と言われ、英国最古の大学です。

 創設から1000年以上という設定のホグワーツだけに、そんなオックスフォードがロケ地として選ばれたのも、しごく当然のこと。特にシリーズの最初の2本は、多くのシーンがここオックスフォードで撮影されたといいます。そんなオックスフォードでのロケ地をいくつかご紹介しましょう。

 まず、オックスフォードでのロケ地として一番に挙げられるのが、『不思議の国のアリス』を著したルイス・キャロルや13人の歴代首相を輩出している、1546年創設の名門校、クライスト・チャーチ・カレッジです。

 はじめてホグワーツにやってきたハリーをはじめとする新入生を、マクゴナガル先生が迎えたのが、ここ、クライスト・チャーチの階段部分。ネビルが逃げ出したヒキガエルを拾い上げて、マクゴナガル先生を見上げるシーンでは、その背後の美しい天井を見ることができます。

マクゴナガル先生が新入生を迎えたクライスト・チャーチの階段。(C)Ralph Williamson and Christ Church

 この階段部分は、『ハリー・ポッターと賢者の石』の最後で病室から出てきたハリーがロンとハーマイオニーと再会するシーン、そして2作目の『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でも、フォード・アングリアで命からがら到着したハリーとロンが校内に入ってきてフィルチと出会う場面、また若き日のヴォルデモート卿、トム・リドルとダンブルドア先生の回想シーンでも使われている、登場頻度の高いロケ地です。

 ほかにも『賢者の石』のなかで、ハリーが父ジェームズの名前の入ったクィディッチの優勝盾の入ったガラスケースを発見するシーンでは、カレッジの中庭に面した廊下が使われていたり、『秘密の部屋』で暴れ柳からフォード・アングリアが振り落とされたシーンの背景もまた、同カレッジ内だったりと、校内の多くの場所がハリポタ映画を飾っています。

ホグワーツの大広間のインスピレーションのもととなった、クライスト・チャーチの大広間。(C)Ralph Williamson and Christ Church

 ロケ地として使われたわけではありませんが、クライスト・チャーチの大広間は、ハリポタ・ファンなら必見! ホグワーツの大広間の原型が、ここに見て取れます。ホグワーツでは4列に寮ごとのテーブルが並んでいるのに対し、こちらは、3列のみです。

Christ Church(クライスト・チャーチ)
http://www.chch.ox.ac.uk/

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2017.12.26(火)
文・撮影=安田和代(KRess Europe)

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