vol.27 ナパ(1)

カリフォルニアが誇る
ワイン銘醸地のレストラン

「ブション」は、ナパバレーのなかでも美食の街として知られるヤントビルに位置する。

 「ブション」は、同じナパにあり、全米一予約が取れないと言われるフレンチレストラン「フレンチ・ランドリー」のスターシェフ、トーマス・ケラーがプロデュースした店である。

 「フレンチ・ランドリー」が、高級食材を駆使した9皿構成のモダンフレンチであるのに対して、こちらは堂々たるフランス郷土料理が並ぶアラカルト中心のビストロになっている。

 とは言っても、パリの下町風な内装ではなく、明るく清潔感に満ちたアメリカンカジュアルな雰囲気を持ち、富裕層がゆったりと食事を楽しんでいる。ちなみにこちらは、ミシュランの1ツ星。

どんなメニューが揃っているのか、興味津々。

 ナプキンに包まれている紙を開くと、内側がメニューとなる。早速、白ワインと「フリュイドメール 海の幸の盛り合わせ」を頼んでみよう。近郊の海から運ばれた、極めて鮮度の高い魚介類が白ワインと優美なダンスを踊る。

「フリュイ・ド・メール 海の幸の盛り合わせ」のうちの一皿。
「ロブスターのビスク」は、この色からも想像できるように濃厚な味わい。

 次に運ばれた「ロブスターのビスク」は実に濃厚で、甲殻類の旨味と香りが凝縮して、舌を攻めて来る。こいつをパンにつけてもたまらない。

 各皿の量も、ビストロの名に恥じない立派な量なので、あまり調子に乗ってはいけないのだが、フランス料理好きの心をくすぐるメニューが並んでいて、次々と頼みたくなる。ああ、実に危険です。

2017.11.19(日)
文・撮影=マッキー牧元