水野祐美子(みずの ゆみこ)さん
家族:夫、長男(9歳)、長女(2歳)
会社名:株式会社アーネスト
肩書き:代表取締役社長

夫と二人三脚で家庭と職場を上手に回す

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 水野祐美子さんは、株式会社アーネストの代表取締役社長だ。

 大学卒業後、テレビ制作会社のAD、音楽番組制作会社や大手外資系企業の社長秘書として働いていた水野さんだったが、2001年に実父が脳梗塞で倒れたことで、大きく人生が変わる。

 父は元来健康で、麹町で料亭を営んでいた。しかし突然の病気により、祐美子さんは会社をやめ、夫の總さんとともに実家に同居することとなった。介護・看護が始まり、生活が変わったのと同時に、それまでの世界では縁のなかった施設や人と知り合うこととなった。

 「障害のある人、その家族という世界を初めて知りました」と祐美子さんは淡々と語る。

 そんなある日、心臓の発作で倒れてリハビリをしていた40代の男性が「今、再就職に向け、パソコンを勉強しています」と言っているのを聞き、障害者であっても社会で活躍したいと願う人が多いということに気づく。

 経済的自立ができれば生きがいが持てる。楽しく積極的に人生を生きることができる。そのために自分たちに何かできることがあるのではないか、と考えて總さんと始めたのが、株式会社アーネスト(以下、アーネスト)だ。

 アーネストは、心身障害者の経済的精神的自立をサポートする就労支援の会社で、プログラマー、エンジニアといったウェブに特化した技術者を育成する。講師は、子育て中のママたち。利用者とはオンラインでつながる。

 身体障害・知的障害・精神疾患・発達障害などがあることで、外に出るためには健康な人よりエネルギーが必要な人たちがいる。一方で、ウェブに特化した技術はあるが、小さな子どもを抱えて長時間就労が難しいママたちがいる。双方をつなぐ画期的なアイデアだ。

 總さんは、多摩永山にある事業所の施設長として現場に目を配り、祐美子さんは自宅オフィスで全体を俯瞰しつつ事務作業。總さんと祐美子さんは、早朝、日中、夜と頻繁に連絡を取り、情報を共有しあい、大きな判断は祐美子さんが下していく。

多摩の事業所には、月に何度か行って全体に気を配る。

 同じ家庭の中にいながら職場の同僚でもあり、家族でもある、ということに特に違和感はない。

 祐美子さんの実家が料亭だったことで、小さな頃から「女将」である母と「大将」である父が、時には親として、時には仕事仲間として、常に語り、喧嘩をしつつ「経営」と「現場」というお互いの立場を尊重しあい、家庭と職場を回してきたことをよく見てきたからだ。

 水野さん夫婦もまさに「大将」と「女将」の如く、二人三脚で家庭と職場を上手く回している。

2017.10.19(木)
文・撮影=HITOMINA