あなただけの処方箋……
もとい“食”方箋を

 週に6日は外食。しかも3回は焼肉のワタクシ。

 こう書くと若干御幣があるかもしれないが、なんだか体調がよろしくない日も出てきた。ダイエット? 糖質制限? そんなフレーズが頭をよぎったある日、「ケイコさん、医学会が監修のレストランが5月29日にオープンするので行きませんか?」との案内が。

 野菜いっぱいのヘルシーメニューという感じ? 正直あまり食指が動かないなと思いながらも店に到着。……なんと店頭には肉をディスプレイした冷蔵庫が! 予想外の展開。

ステキなルックスにそそられる。これは期待できそう。

 それにしても、医学会が監修する世界初のレストラン「医学会キッチン オーソモレキュラー」とは一体何なのだろう。

 「処方箋ならぬ“食”方箋をテーマにした、新しい発想のレストランです」というのは、監修チーフドクターの柳澤厚生先生。

 聞きなれない単語である、オーソモレキュラーとは?

「薬を使わず、食物から得られる栄養で病気を治そうという治療法で、栄養療法の第一人者、故エイブラム・ホッファー博士が学会を1968年に設立しました。現在では世界21カ国の関連団体が加盟し、日本では700名の医療従事者が所属、活動しています」

 その約700名のなかから、季節ごとに約10名の医師や薬剤師がレシピ作りに参加。各人の研究に基づき、健康寿命長寿、ダイエット、アンチエイジングなどそれぞれの効果を追求したメニューを監修している。

 分子レベルでアミノ酸やビタミン、ミネラルを使い、健康維持だけでなく、病気の予防や治療まで高めていく。眠れない時の睡眠薬、血圧が高い時の降圧剤ではなく、食事療法を投入することによって治すのだという。

ステーキハウスをリニューアルした店内はゴージャス!

 メニューを開くと、ステーキやカレーといった文字が並ぶ。これはますます期待できそう。なにはともあれ、まずはいただいてみなければ。

 アンチエイジング担当の松山淳先生が監修するのは、「牧草牛“グラスフェット”のサーロインステーキ」。ステーキ丼(1,500円)からランチステーキ(3,600円)、ディナー時はサーロイン(1/4ポンド 4,300円~)、フィレ(1/4ポンド 5,160円~)と、幅広いメニューになっている。

 ニュージーランドの完全放牧の牛は、高タンパクで低脂肪。亜鉛や鉄といったミネラルが豊富で体にいい。さらに肝心の味も申し分ない。というのも、こちらは京都を本店に熟成肉のステーキ店などを30店展開するステーキ听(ポンド)の経営。肉の扱いは慣れたもの。

グラスフェットは苦手と思っていた人は、考えが変わるかも。

 同じ肉を使った「牧草牛“グラスフェット”のハンバーグ」2,520円は、パン粉や牛乳ではなく豆乳と大豆の特別なものをつなぎとして使用。風味豊かな自然の味を食すことができる。

あふれる肉汁にうまみ。塩コショウの味付けでも充分。

 テリー新谷先生監修の天使の海老&ココナッツレッドカレー(1,300円)。ニューカレドニアの人気種の海老を使用。

ぷりっぷりの海老にカレーがベストマッチ。

 この日はいただけなかったが、矢澤一良先生監修の「天使の海老のテルミドール風“オキアミ”ソース」(1,980円)というのもあり、注目はオキアミ。

 立ち食いそば店などで天ぷらとして提供される庶民的な食材と思いきや、DHAやEPAをはじめ、某フィルムメーカーの化粧品にも使われているアスタキサンチンを多く含み、美容に効果が期待できる機能性食材なのだとか。これは次回必ずいただきたい。

 柳澤厚生先生監修の「発芽発酵玄米おにぎり&本日のスープ」(900円/ランチ)は、なんだか疲れているなぁ、元気がでないなぁといった人にぴったりだという。まさしく私のことではないか!

 発芽発酵玄米を小豆と一緒に炊いてあり、アミノ酸が吸収しやすいそうだ。マグネシウムやビタミンがたっぷり。完全無農薬の野菜を使ったスープと合わせ食べているうちに、なんだかシャキっとなってきたような(単純なワタシ)。

週に一度これを摂取するだけでもだいぶ違ってきそう。

2017.06.26(月)
文・撮影=Keiko Spice
写真提供=医学会キッチン オーソモレキュラー