「スラムのガキから王になれ!」というキャッチフレーズを引っさげ、2017年6月17日から日本公開が始まった映画が『キング・アーサー』。ガイ・リッチーが監督を務め、聖剣エクスカリバーを振り回してのアーサーの大立回りに、巨大なゾウやらヘビやらまで現れる、スピードもスケールも備えただ作品だ。

 そのロケの舞台となった、荘厳で特異な自然と伝説に彩られたウェールズの旅を、前後篇に分けてお届けする。今回は後篇。

壮大な風景を愛でた後は
異界的な雰囲気のホテルへ

日が陰ると荘厳な感じさえするスノードニアの自然。

 英国は、本来、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドという4つの地域(カントリー)の連合王国。ウェールズはグレートブリテン島の南西部にあたり、古代、ケルト系ブリトン人が住んでいたエリアだ。今でもケルト系言語のウェールズ語が英語と並んで公用語であり、道路標識などは2言語で表示されていて、独自の文化に対する誇りを持っている。

アーサーが仇のヴォーティガンから逃れて川に飛び込んだ絶壁。

 アーサー王は、ブリトン人の君主としてサクソン人を撃退した伝説の人物である。

 アーサー王を描いた映画『キング・アーサー』のロケ地、ウェールズのスノードニア地方は、歴史的な背景もさることながら、手つかずの荒々しい大地がアーサーの活躍する場にふさわしい。1085メートルのスノードニア山と峡谷は、荘厳な雰囲気に包まれている。

 処刑寸前のアーサーが逃げ、絶壁から飛び込む場面が撮影されたのは「ビビアン・クオリー」というスレートの元採石場。ここでのロケでは、高さ25メートル近くの絶壁から深さ約60メートルの池に飛び込んだという。

 そんな壮大なロケ地の風景を楽しみながら、到着したのが入り江に面した「ポートメリオン・ビレッジ」。

異界への入り口? ポートメリオンの村にある門の一つ。

 ここは建築家のバートラム・クラフ・ウィリアム=エリス卿が私財を投じて全体を設計した村。カラフルな地中海風の建物が並び、人魚などのモチーフがあちこちにあってどこか不思議な雰囲気を持っている。

 1960年代にカルト的な人気を誇った英国のテレビドラマ「プリズナーNo.6」のロケ地で、同作では、脱出できない村という設定だった。村には、全室が異なるインテリアのホテルもあり、その独特の世界観を楽しめる。

パステルカラーを使った地中海風の建物が独特な雰囲気を醸している。
クラシックで凝ったインテリアの客室。
左:洗練されたサービスのディナー。
右:シーフードがとてもおいしい。

Portmeirion Village
(ポートメリオン・ビレッジ)

所在地 Minffordd, Penrhyndeudraeth Gwynedd LL48 6ER
電話番号 01766-770000
http://www.portmeirion-village.com/

2017.06.23(金)
文・撮影=小野アムスデン道子