放送中の大河ドラマ「おんな城主 直虎」ゆかりの地としても注目を浴びている静岡県静岡市は、旅先としても5月下旬~6月の今が旬。摘みたての新茶がでまわり、駿河湾でしか捕れない桜えびの春漁のまっただ中。人混みも少なく気候もよく、富士山の絶景スポットへの散策もベストシーズン。東京からたったの約1時間! 新緑の爽快な風にのって名産が一気に芽吹く、初夏の静岡市へでかけてみませんか。

静岡市の絶景スポットのひとつである日本平から望む茶畑と富士山。この時期は新芽のグリーンがいっそう煌びやか。富士山から運ばれる風と伏流水がおいしいお茶の源。詳細は第3回で紹介。

ついに春漁が解禁!
鮮度抜群の桜えびを求めて由比へ

 新茶と同じシーズンに登場する、プリッと甘い桜えびは、日本では駿河湾のみで捕れることをご存じ? 桜えびの春漁は今がまっただ中。都内でもなかなかありつけない、鮮度抜群の桜えびを求めて、由比へでかけませんか。新幹線の静岡駅から電車でわずか20分。足を運んでも食べたい、新鮮な味覚とわくわくする“おいしい!”があふれるこの時期を見逃さないで。

“ピンクカーペット”の背景は富士山
富士川河川敷「桜えびの天日干し」

 桜えびの漁期は、春と秋の年2回。その期間の風物詩となっているのが、富士川の河川敷で行われる桜えびの天日干し。そびえ立つ富士山をバックに、まるでピンクの絨毯のごとく見えるのが由比港で水揚げされた桜えび。太陽の光を浴びることで、より一層うまみと風味が凝縮されるとか。

午前7時~9時頃にかけて作業をし、14時には撤収するため、“一面ピンク”の光景は昼が見頃。

 季節限定の美しい一景を見られるのは、前日に桜えびの漁があり、当日が晴れているときのみ。出漁情報は音声案内で確認できる。運良く漁があり天気にも恵まれたなら、ぜひ足を運んでみては。

炒め物や佃煮、炒飯やパスタの具材としてもおいしそう!

 天日干しされていた桜えびは、JR由比駅から徒歩15分のところにある、由比港漁業協同組合の直売所などで購入可能。生桜えびや生しらす、地魚を使った練り製品などのほか、桜えび塩やふりかけなど、ここならではの加工品も充実しているので立ち寄ってみては?

富士川河口河川敷
アクセス JR新蒲原駅から徒歩約30分(3km)

由比港漁業協同組合
電話番号(出漁情報の音声案内) 054-376-0439(13:00~)
※漁期間中のみ案内
http://yuikou.jp/

由比港漁業協同組合「直売所」
所在地 静岡市由比今宿字浜1127
電話番号 054-377-1111
営業時間 8:00~17:00
定休日 月曜(祝日の場合は翌日休み)、年末年始
http://yuikou.jp/chokubai

浜漁師直伝の桜えび料理を味わう
「浜のかきあげや」

 桜えび漁の水揚げ日本一を誇る由比港。磯の風味が残る捕れたてを生で食べるのも格別だが、ぜひ食したいのが、桜えびのかきあげ。新鮮な桜えびが醸し出す濃厚な甘みと香りが、サクサクとした食感とともにリズミカルに口の中に広がる味わいといったら! そんな、かきあげをもっとカジュアルに食べる場を提供したいと、由比港漁業協同組合が運営する食事処がこちら。

 迷わず頼みたいのが、その日に水揚げされたばかりの新鮮な桜えびをふんだんに使ったかきあげ、桜えびを秘伝のタレにつけた沖漬を使った代表的な“漁師メシ”のひとつである沖漬丼、桜えびをまるごといれたダシで作った味噌汁のセット。

桜えびづくしの一番人気メニュー。「沖漬丼セット」1,000円。

 そのままでも十分おいしい沖漬丼だが、最後に専用のつゆをかけてお茶漬けにするのがツウだそう。つゆは昆布のダシ汁。かければ桜えびが釜揚げされたようになって、また違う風味を楽しめる。

 由比港のもうひとつの名産である、しらすを使ったメニューも人気。

釜揚げ桜えびとしらすのハーフ&ハーフのどんぶり「由比丼」750円。桜えびのかきあげ、味噌汁がついたセットは1,000円。

 また、こちらの隠れメニューとしておさえておきたいのが、桜えびのドーナツ。新鮮な生の桜えびを手ごねで練り込んだ風味豊かな逸品。旅のおやつタイムに、新茶と合わせて召しあがれ。

桜えびのドーナツ 4個入り 250円。
すぐ目の前は桜えび漁船が並ぶ漁港。初夏の風が運んでくる磯の香りを感じながら、“ハーバートゥテーブル”なおいしいひとときを。

由比港漁業協同組合「浜のかきあげや」
所在地 静岡市清水区由比今宿字浜1127
電話番号 054-376-0001
営業時間 10:00~15:00
定休日 月曜(祝日の場合翌日休み)、年末年始
※桜えび休漁期間中は、金・土・日のみ営業
http://yuikou.jp/enjoy

2017.05.27(土)
文=吉村セイラ
撮影=佐藤 亘