伊東夏純(いとう かずみ)さん
家族:夫、長女(4歳)
会社:株式会社ビジョン
部署:人事部 リーダー
働き方:時短勤務(9:30~16:30)

分担できることとできないことの
割り振りをする

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 伊東さんが株式会社ビジョンに入社したのは2008年のこと。情報通信サービス事業とグローバルWiFi事業を主軸としている会社だ。

 入社当初はWebメディアの広告を提案する部署で営業として働き、2010年に人事部に異動となった。

 「人見知り」と自らを分析する伊東さんだが、人と関わることが嫌いなわけではない。最初に人間関係の壁を取り除くのが苦手だったので、人事部で多くの人と関わることになったのは、自分にとってよかったと感じている。

 2012年に出産し、保育園が決まらず育休を1年半まで延長。やっと保育園が決まったものの復帰時期は3月だったため、4月入園までのひと月は、一時保育に預けるしかなかった。会社に掛け合って、週に3日の勤務形態を了承してもらい、復帰にこぎつけた。

 現在の仕事は、人事部の一員として採用のサポートをする一方で、社内報の編集長として腕を振るう。社内報は年に4度の発行。制作・入稿の繁忙月は、往復3時間の通勤時間を作業に当てられることを理由に、週に2回ほど在宅勤務を認めてもらっている。

 自宅でできることとできないことに仕事を意識して振り分けておく、自分以外の人でもできることを共有して急な休みにも依頼できるようにしておく、なるべく多くの人で仕事を分担することなどを心がけている。

 たとえば社内報で必要なインタビューの文字起こし作業は、人事部内の社内報担当以外の社員にも作業を手伝ってもらう。一人では負担になる作業も、協力を得ることで納期にも間に合っている。

社内報制作は、多くの社員とコミュニケーションができ、会社の新しいトピックを知ることができるやりがいのある仕事だ。

 伊東さんたちの前の世代までは、あまり利用する人はいなかった育休・時短制度だが、今では、徐々に利用者が増えている。さまざまな工夫をし、時短でも働きやすく、仕事の精度を下げないように、社員と会社が共に知恵を出し合っているのだろう。

「制度を使うだけではなく、相談することで会社も柔軟に対応してくれることがわかりました」

 たとえば伊東さんの場合、復帰してから子どもが保育園に入園できるまでの1カ月、週に3日という働き方や、繁忙期に自宅勤務ができるようにしてもらったことなどは、元々制度として存在していなかったが、すべて会社と話し合いの上、可能となった。仕事で結果を出しているからこそ認められている面もあろうが、今ある境遇でできることを模索し、提案してみるという姿勢はとても大切だ。

2017.05.25(木)
文・撮影=HITOMINA