グッドデザインに囲まれた、洗練のモントリオール。“北米のパリ”とも称されるこの都市は街を散策しながら名建築を巡るといい。感性を刺激するデザインは至るところに。

新旧の融合と文化の交錯が生み出す先鋭の都市景観

歴史ある旧市街から数ブロックで近代的な高層ビルが林立する。

 サン・ローラン川の左岸に発展した、カナダ第二の都市モントリオール。住民の大半はフランス系カナダ人で、二カ国語で併記された看板や街中で交わされる会話からもわかるように、ここでの公用語はフランス語だ。パリに次いで世界2番目となるフランス語圏のこの都市は、北米大陸におけるフランス文化の地でもある。

 とはいえ、早くから移民を受け入れてきた寛容なる国際都市。世界各国から集まったメンバーで構成されるエンタテインメント集団シルク・ドゥ・ソレイユがこの地で発祥し、本拠地を置くように、多民族が互いを認め合い、共存する中で独特の文化は形成されていった。この街の大らかで自由な気風は、滞在してすぐに実感できるはずだ。

プラス・ダルム駅と直結するコンベンションセンターもカラフル。

 旧市街には歴史的建造物が立ち並び、一方のダウンタウンには近代的な高層ビルが林立。新旧がこれほど整然と共存する都市も珍しい。どこに視線を向けてもこの街を特徴づける風景が目に入り、軽い興奮を覚えるようだ。歴史ある伝統を礎に先進の発想を柔軟に取り込みながら、モントリオールの文化的想像力は育まれたに違いない。都市景観の優れたサンプルであり、建造物のショーウィンドウという見方もできるだろう。

 2017年に市制375周年を迎えるモントリオールは、街のあちこちで再開発が急ピッチで進行中だ。クリエイティブなデザインとフランス文化に彩られたカナダの先端都市は今、新たな時代の展開を迎えている。

MONTRÉAL(モントリオール)
フランス文化が薫る、カナダ第二の都市。歴史的建築物と近代的な高層ビルとが調和し独特の景色を浮かび上がらせる。多民族文化の交差点で多様なデザインを堪能。
通貨 カナダドル(1カナダドル=約83円 ※2016年11月現在)
電話(国番号) +1

撮影=橋本 篤
取材・文=粂 真美子
コーディネイト=横田織部/pla-net inc.
地図制作=シーマップ
取材協力=カナダ観光局