小田島久恵のときめきクラシック道場

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26歳の若き新星・金子三勇士は
稀有の知性を持つ注目のピアニスト

母はハンガリー人、父は日本人
リストの故郷で受けた音楽教育とは?

金子三勇士(かねこ みゆじ)
1989年、群馬県高崎市に生まれる。6歳よりハンガリーに単身留学。2001年に飛び級でハンガリー国立リスト音楽院大学(特別育成才能コース)に入学。全課程を終えた2006年に帰日。東京音楽大学付属高校から同大学へ進み、同大学院を修了する。これまでに小林研一郎、ゾルタン・コチシュ、準・メルクル、ジョナサン・ノットらと共演。

 ハンガリー人と日本人の両親をもつピアニスト、金子三勇士。26歳という若さながら、落ち着いた語り口と穏やかな表情には、既に成熟した芸術家の風格を感じる。この人物と向き合った人は、誰もがその穏やかさと温かさに心癒されるはず。

「趣味は料理なんですよ。仕込みや盛り付けに凝るタイプで、スパイスやハーブにもうるさいです。自分一人で食べるために作る料理にも、ついこだわってしまうんです」

 おっとりとした雰囲気ながら、アーティストとしての自立は早かった。6歳で単身ハンガリーへ渡り、祖父母の家からバルトーク音楽小学校へ通い、才能豊かなピアニストとしての頭角をあらわしていく。

「祖父母の家というのが、日本でいう軽井沢のような山の中に建てられた一軒家で、村からも遠かったので、小学生のときは半分自然児のような暮らしでした。森の動物たちと話をしながら育ったようなものですね」

 11歳のとき、飛び級でリスト音楽院大学に入学。名教師たちの指導のもと、16歳までに全課程を終了するという才能を見せる。

「とてもいい教育を受けたと思います。レッスンや授業だけでなく、美術展があれば『見に行こう』とみんなで見に行く。人間的な勉強の仕方でした。ただ、大学に飛び級で入っても、ハンガリーの義務教育は別にこなさなければならないので、音楽院の勉強と高校の勉強を二足のわらじ状態でやっていました。寝る時間も食べる時間もほとんどなくて……。プロを目指すために16歳のときに日本に戻ってきたのですが、そこからがまたカルチャーショックの連続でした」

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2016.09.11(日)

文=小田島久恵

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