小田島久恵のときめきクラシック道場

小田島久恵のときめきクラシック道場

名匠カンブルランと読響が奏でる
メシアンのスピリチュアルな超大作

日本のオケと挑戦を続ける指揮者

●シルヴァン・カンブルラン
1948年フランス、アミアン生まれ。トロンボーン奏者として活躍したのち、1975年にリヨン国立管弦楽団で指揮者デビューを飾り、国際的な指揮者の登竜門であるブザンソン国際指揮者コンクールで1位を受賞。1981年にベルギー王立歌劇場の音楽監督に就任。フランクフルト歌劇場音楽総監督、シュトゥットガルト州立歌劇場音楽総監督を歴任。2010年から読売日本交響楽団の常任指揮者となり、2019年まで読響とのパートナーシップを継続する。

 オーケストラで巨大な世界を作り上げる魔術師、そして太陽のような明るい楽観と、若々しい冒険心を持つ魅力的な人物である。

 2010年から読売日本交響楽団(以下、読響)の常任指揮者を務めるフランス人マエストロ、シルヴァン・カンブルランは、ドイツ的で重厚なサウンドが特徴であるこのオーケストラにモダンな軽やかさや透明感をもたらし、豊富な現代曲のレパートリーを作り上げてきた。オーケストラのメンバーからの信頼も厚く、カンブルランが登板する演奏会では独特の心地よい緊張感が走る。

 オーケストラと指揮者の充実した関係を積み重ねてきたこの秋に、彼らは20世紀の偉大な作曲家オリヴィエ・メシアン(1908~1992)のオペラ『アッシジの聖フランチェスコ』を演奏会形式で上演する。演奏時間だけで4時間半を要するオペラで、内容は「神劇」と呼ぶべきスピリチュアルな世界だ。

 カンブルランと読響、作曲家メシアンとの縁は深く、過去の定期演奏会でもメシアン作曲の『トゥーランガリラ交響曲』を演奏している。長大なオペラ『アッシジの聖フランチェスコ』はカンブルランが深く愛する作品で、世界中のオーケストラと過去に24回も指揮をしてきた。

「読響ともぜひ上演したいと思っていました。このオーケストラのすべてに私は満足しています。信頼関係がとても強いですし、彼らは私が音楽的にやりたいことに素早く反応してくれる。とても柔軟性の高いオーケストラで、私が暗めの音、クリアな音、アグレッシヴな音、優しい音などを求めると、彼らはすぐに出すことが出来るのです。これには何か秘密があるのではないか……と私自身感じているのですが……バランス、技術、音色、集中力、すべてが優れているのです。『アッシジの聖フランチェスコ』は大きな挑戦ですが、オーケストラが作品そのものの良さを表現してくれると思います。成功のための具体的な確信がありますし、まさに機が熟したという言葉が相応しいですね」

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2017.11.18(土)

文=小田島久恵
撮影=佐藤 亘

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