音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!

 さて、近々リリースされるラインナップから、彼らが太鼓判を押す楽曲は?

【次に流行る曲】
ЯeaL「仮面ミーハー女子」

ガールズバンドとは極めて日本的な存在である

伊藤 今回は、メンバー全員、2016年の春に高校を卒業したばかりのガールズバンド“ЯeaL(りある)”の2ndシングル「仮面ミーハー女子」。LINE公式アカウントのフォロワーが2万人を突破し、LINE公式BLOGのランキング1位。デビューシングル「秒速エモーション」が、着うた配信サイト1位で、女子高生が選ぶ音楽ランキング「クルコレランキング」1位を獲得。勢いのありそうなティーンガールズバンドが出てきましたね。

山口 知りませんでした。このガールズバンドも、伊藤命名の「ウルトロン世代」ですね。

伊藤 そうです(笑)。

山口 実はガールズバンドって日本的な存在なんですよ。少年ナイフとかロリータ18号とか、今でもアメリカのライブシーンで人気があったりします。最近で言うと、やっぱりSCANDAL効果ですかね?

伊藤 そうですね。80年代以降、メジャーマイナー問わずガールズバンドは常にいるんですけど、SCANDAL以前はそんなに盛り上がってなかった印象。彼女たちの存在がシーンを再熱させた感じはありますね。

山口 SCANDALのチームは、非常に親しくて、デビュー前から話は聞いていたし、SXSWのJapan Nite出演の件で相談に乗ったりしてました。その頃は演奏力に不安がありましたが、見事に上手になりましたよね。アイドル的なガールズバンドはたくさんありましたけれど、彼女たちは本物になりましたね。

伊藤 この5年くらいエレキギターの売り上げが良いという話を聞きますが、その購入者の多くが女子中高生なんだそうです。アニメの「けいおん!」の影響は大きいのですが、2012年発売のAKB48「GIVE ME FIVE!」でセンターだった前田敦子が使っていたGretschのギターがバカ売れしたとか。

2016.07.31(日)
文=山口哲一、伊藤涼