独立宣言を書いた大統領は、発明家!?

シャーロッツビルのダウンタウン。レンガ造りの建物が並び、緑陰の遊歩道が美しい。

 アメリカ創成期の大統領を輩出しているバージニア州。第3代大統領であり独立宣言を起草したトーマス・ジェファーソンは、教育の重要性を説き、自らバージニア大学を創立した。バージニア大学は、ジェファーソンの自邸である「モンティチェロ」と併せて、世界遺産に登録されている。これらのあるシャーロッツビルに向かう。

 途中、ジェファーソンの後を継いで第4代大統領となり「アメリカ合衆国憲法」を起草したジェームズ・マディソンの邸宅「モントピリア」に立ち寄る。

左:ロビーにジェームズ・マディソンがアメリカ諸州の連帯を説いた「我が国への助言」の一節が掲げられている。
右:庭で読書をするマディソンに寄り添うドリー。

 現在は、アメリカ合衆国国定歴史建造物に登録されており、ナショナルトラストが保存している。当時の暮らしぶりが再現されており、書物に囲まれた書斎、マディソンの妻ドリーが要人をもてなしたダイニングなどを見て回ることができる。ドリーは死去の際、弔辞の中で「ファーストレディ」と評された。ファーストレディと呼ばれた初めての女性なのだ。

James Madison's Montpelier
(ジェームズ・マディソンの邸宅モントピリア)

所在地 11350 Constitution Hwy, Orange, VA 22960
電話番号 540-672-2728
URL https://montpelier.org/

身長が6フィート(183センチ)もあったというトーマス・ジェファーソンの等身大像。

 次に訪れたトーマス・ジェファーソンの邸宅「モンティチェロ」は、歴史に名を残した大統領の邸宅という以上に、自身が設計したという建物の造り(というよりは仕掛けに近いかも)に感心させられる。広大な敷地は、シャトルバスで回る。邸宅と連結したパビリオンでも当時の暮らしを再現していて面白い。

 邸宅では、ポーチの天井が風向きを示し、エントランスにはドアごと時計のようで曜日も示す大時計があり、ホールはアメリカのいろいろな風俗の展示スペースを兼ねている。省スペースのために壁に埋め込まれたベッドと上部収納、地下のセラーからワインを引き上げる隠しリフトなど、あまりにいろいろよく考えられていて「この人、建築家? いや発明家?」と思ってしまうほど。

風向計がついたモンティチェロの正面。
ワインは、地下のセラーからリフトで引き上げられ、暖炉の横に届くようになっている。

 当時は、140人の奴隷を含む200人が住んでいたという広大な敷地。今も畑がまだ残っており、内部で使用する分の作物などを育てている。民主主義の基盤として教育の必要性を説いたジェファーソンだけあって、自らも勉強家。植物を研究し、気候の記録も採り続けていたという。

敷地内の畑では、今も敷地で使用する分などの作物を栽培している。

Thomas Jefferson's Monticello
(トーマス・ジェファーソンの邸宅モンティチェロ)

所在地 931 Thomas Jefferson Pkwy, Charlottesville, VA 22902
電話番号 434-984-9800
URL https://www.monticello.org/

2016.06.14(火)
文・撮影=小野アムスデン道子