海岸に設けられた“海のオルガン”とは?

夕暮れ時になると、人が集まってくる海のオルガン。ヒッチコック絶賛のサンセットを、波が奏でる音楽を聴きながら。

 護岸は護岸でも、コンクリートに穴を無数に空け、打ち付ける波によって、空気が押し出され、音が出る仕掛けの“海のオルガン”を建設。変則的に打ち付ける波によって、「バフー、パフー、フー」と、ひとつとして同じメロディのない、不思議な音が響きます。

 夕暮れ時には、階段状の防波堤に人々がずらりと座り、海の神ネプチューンが奏でるオルガンに耳を傾けつつ、一日の終わりを迎えます。

グリーティング・トゥ・ザ・サンは日没後のお楽しみ。

 海のオルガンの近隣には、日中の太陽エネルギーを利用して床にイルミネーションを描く「グリーティング・トゥ・ザ・サン」というインスタレーションもあります。海のオルガンでサンセットを迎え、日没後はグリーティング・トゥ・ザ・サンへ移動して、光のアートを楽しむのが、一連の流れに。

 けれど、2015年の冬、海のオルガンは嵐で崩壊してしまいました。修復には翌年の冬までかかると言われていましたが、これまでも壊滅的な状況から何度も立ち上がっているザダルのこと、6月第1週には復活できるとの知らせが! ザダル、たくましい!

コルナティ国立公園ではなく、テラシカ国立公園へ行くことに……。でも、ほぼ同じルートなので、神様の涙の島々は眺められます。
Barba Iveというクルーズ船を利用。ワンちゃんと一緒に島旅を楽しむ人も。

 そしてザダルのハイライトといえるのが、南沖に浮かぶおよそ130の島々からなるコルナティ国立公園へのクルーズ!

 作家のバーナード・ショウは「天地創造の最後の日に、神は仕上げとして、涙と星屑と息吹でコルナティ諸島を造られた」との言葉を残したそう。

 が、楽しみにしていたコルナティ国立公園クルーズが、運悪く1日おきに目的地が変わり、テラシカ国立公園へ行くことに……。それでも、クルーズ船から望む、いくつもの島々に、神が天地創造の達成感のあまりに涙した様子を想像したりして。

2016.05.28(土)
文・撮影=古関千恵子