世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。

 第131回は、インド洋に浮かぶ楽園で行われた美食の祭典について、大沢さつきさんがリポートします!

極楽リゾートで、料理フェスティバル!?

コンスタンス・ベルマーレ・プラージュ・モーリシャスのエントランスロビーからの眺め。この青い空と海のもと、熱い料理コンテストが繰り広げられた。

 アフリカ大陸の右にマダガスカル島。そのマダガスカルに寄り添うようにモーリシャス島はある。ヨーロッパではつとに有名なリゾートアイランド。南の楽園だ。動物好きなら、くちばしの大きな飛べない鳥、絶滅してしまったドードーの島として知っているかもしれない。

 と、そんな日本から隔絶した南の島で、毎年開催されるユニークな料理フェスがある。2016年で11回目を迎える「ベルナール・ロワゾー料理フェスティバル」。フレンチ通ならよくご存知の天才シェフ、非業の最期を遂げたベルナール・ロワゾーへのオマージュとして開かれているフェスティバルだ。

 主催しているのは、インド洋に7つのホテルを展開するコンスタンス・ホテルズ&リゾーツ。世界各国から招聘した、ミシュラン1ツ星のフレンチのシェフ6人と、同ホテルのあるモルジブやセイシェルなど各地区で勝ち残ったホテルのシェフであるアイランドシェフ6人がチームを組み、優勝を競うというもの。

 今年は極東からはじめて、西麻布のレストラン「アムール」の後藤祐輔シェフが参加した。

後藤シェフはアイランドシェフ唯一の女性シェフ、ヒルディとのチーム。彼女はセイシェルのコンスタンス・レムリアから、2度目の参加だ。
シェフはもちろん、審査員や同行者など関係者全員、おそろいのピンクのポロシャツにて、いざ、マーケットへ。買いものカゴがいい感じ。

 初日、チーム分けが抽選で決まると、早速マーケットへ買い出しに。コンペは、スターシェフのつくるアミューズブーシュと、スターシェフ指導でアイランドシェフがつくる前菜とメインディッシュで競われる。タッグを組むシェフ同士のコミュニケーションが良好でなくては、よい一皿は生まれぬわけで、買い出しは意思の疎通を図る貴重な時間でもある。

 そしてもちろん、食材選びは料理の要。見たこともないような食材もあれば、お目当ての食材が見つからないという艱難辛苦が、シェフたちを待ちかまえている。でも、ここはリゾート。シェフたちの真剣ながらも、どこかウキウキとした気分が伝わってくる。

コンペの課題には、モーリシャスらしさ、島らしさを料理に漂わせるというのもあって、シェフたち大変!
そんななか、後藤シェフはフレッシュな桜エビ発見で、秘策が練れた模様? 一歩リードか、他のチームの動向も気になるところだ。南の島だけに、スパイス使いも決め手になるのかな?

 今回、コンペの料理は、前菜にサーモンを、メインにエビを使うことと決まっている。各チーム、マーケットから持ち帰った食材をもとに作戦会議。スターシェフの指導力の見せどころだ。後藤シェフと組んだシェフ、ヒルディに話を聞くと「前回参加したときはあまりコミュニケーションが取れなかったが、後藤シェフはちゃんとリスペクトしてくれて、話を聞いてくれる。とってもやりやすい」とのことでありました。

 ずぅーっとシリアスなチームあり、笑顔のこぼれるチームありとさまざま。でもやっぱり、アイランドシェフたちは真剣だ。スターシェフたちはまじめながらも余裕の表情。キッチンでのやり取りは見ているだけで面白い。

フランスから参加のスターシェフは2人。左が最長老のシェフ・ミッシェル、右がシェフ・マーク。一般の宿泊客でもキッチンを訪れ、こんなシェフたちの様子をのぞいたりできるのが、このフェスの醍醐味だ。

2016.05.17(火)
文・撮影=大沢さつき