「できることなら、全部やりたい」欲張りな性格

――それではなぜ、劇団四季を退団されたのでしょうか?

 四季で舞台の勉強をするうちに、映像の仕事をやったり、CDも出してみたいと、舞台以外のこともやりたいと思うようになったことが大きいです。僕は欲張りな性格なので、ひとつの道を選ぶのではなく、「できることなら、全部をやりたい」と思うようになったんです。

――ちなみに、ジャニーさんや浅利慶太さんから言われた印象的な言葉はありますか?

 ジャニーさんからよく「華になれ」「不良になれ」と言われました。10代だったので、あまり意味がよく分からなかったのですが、カッコいい華、面白い華になることを身につけることだと思います。不良というのは、ここ数年「ロミオ&ジュリエット」のマーキューシオや「さよならソルシエ」のゴッホなど、不良役やはみ出し者の役を演じたことで分かりました。そういった役を演じることで、周りから評価されることが増えたんです。また、浅利さんからは「子どもではなく、大人を感動させるミュージカルをやれ」と言われたことを覚えています。

――07年には現在の東宝芸能へ移籍し、舞台俳優としてさらに活躍されますが、個人的に転機となった作品があれば教えてください。

 すべての作品が転機となっていると思いますが、あえて言うなら、まずは07年に初主演をやらせてもらった「君に捧げる歌~A Song for you~」。その次は、11年の「ロミオ&ジュリエット」。小池修一郎さんが演出されている舞台に出してもらったというのが大きいですね。それと二人芝居であり、まったく踊る場面がなかった12年の「スリル・ミー」。また、30歳を過ぎていながら、2.5次元ミュージカルに挑戦した14年の「幕末Rock」も転機だったといえます。

2016.04.22(金)
文=くれい響
撮影=山元茂樹