弦楽四重奏の名作の魅力を広く伝えるとともに、まだ知られていない優れた作品を紹介する

「カルテット AT(アット) 水戸」とは?

撮影:田澤 純
水戸芸術館(公益財団法人水戸市芸術振興財団)には3つの専属楽団があります。「水戸室内管弦楽団」、「新ダヴィッド同盟」、そして2023年から始動した「カルテット AT(アット) 水戸」です。
小澤征爾氏が絶大な信頼を寄せ、水戸室内管弦楽団やオタワ・ナショナル・アーツセンター管弦楽団でコンサートマスターを務める川崎洋介氏を中心に、国内外で活躍する西野ゆか、柳瀬省太、辻本玲の各氏が集ったこの弦楽四重奏団は、時代を越えて愛される弦楽四重奏の名作の魅力を広く伝えると同時に、まだ知られていない優れた作品を紹介することを活動の柱としています。
水戸市内での福祉施設等へのアウトリーチや水戸ジュニアオーケストラへの指導など、地域に根差した交流を通して様々な人々に弦楽四重奏の愉しみを伝える活動を行っています。
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第3回演奏会のみどころ
今回の演奏曲は、その特徴的な曲の終わり方に由来した〈冗談〉というニックネームで愛されているハイドンの「弦楽四重奏曲第38番」、ラテン語による哲学的な8つのソネット(訳すと「だから私はあなたなしでは生きていけない…」「平和を望むなら戦いに備えよ」など)が添えられた、ロシアの現代作曲家レーラ・アウエルバッハによる弦楽四重奏曲第3番〈セテラ・デサント〉、そして、先達が作り上げた様式の殻を打ち破ろうと意欲的・挑戦的な作品が続いたベートーヴェンの創作中期の“総まとめ”と称される名作、「弦楽四重奏曲第7番〈ラズモフスキー 第1番〉」です。曲目に関するトークを交えながら、客席と一体感のあるアットホームな公演を作り上げる「カルテット AT 水戸」のこれからの活躍をどうぞお楽しみに。
公演詳細
日 時 7月19日(土) 13:30開場・14:00開演会 場 水戸芸術館コンサートホールATM
料 金 【全席指定】一般 4,500円 U-25(25歳以下)1,500円 ※未就学児入場不可
曲 目
ハイドン:弦楽四重奏曲 第38番 変ホ長調 作品33の2〈冗談〉
アウエルバッハ:弦楽四重奏曲 第3番〈セテラ・デサント〉
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第7番 ヘ長調 作品59の1〈ラズモフスキー 第1番〉
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メンバープロフィール
川崎洋介
6歳から父・川崎雅夫に手ほどきを受けヴァイオリンを始める。10歳でジュリアード音楽院予科に入学を認められ、D.ディレイ、H.カン、F.ガリミア、J.スミルノフに師事、1998年にジュリアード音楽院卒業。アラバマ州モンゴメリー交響楽団、大阪センチュリー交響楽団のコンサートマスターを歴任し、水戸室内管弦楽団、サイウ・キネン・オーケストラのメンバーとしても活躍。小澤征爾、ピンカス・ズッカーマン、ヨーヨー・マ等とも共演し、カーネギーホール、サントリーホール、ロイヤル・コンセルトヘボウなど世界有数のホールに出演している。「トリオ・インク」のメンバー、アフィニス夏の音楽祭の音楽監督、ブルガリアの室内楽音楽祭「オフ・ザ・ビートゥン・パス」のアーティスティック・アドヴァイザーなど室内楽での活動も目覚ましい。現在カナダのオタワ・ナショナル・アーツ・センター管弦楽団のコンサートマスター、及びNHK交響楽団のゲスト・コンサートマスターを務める。
西野ゆか

桐朋学園大学音楽学部を経て、同大学研究科修了。大学在学中にクァルテット・エクセルシオを結成する。第2回大阪国際室内楽コンクール弦楽四重奏部門第2位、第5回パオロ・ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクール(イタリア)において最高位、併せてサルバトーレ・シャリーノ特別賞など受賞。また第19回新日鐵音楽賞『フレッシュアーティスト賞』、第16回ホテルオークラ音楽賞を弦楽四重奏団として初めて受賞する。2010年10月より16年の6月までの6年間サントリーホールの『室内楽アカデミー』で、コーチング・ファカルティを勤める。2017年4月より浦安音楽ホールのレジデンシャル・アーティスト、2023年5月には秋川キララホールのアンバサダーに就任。クァルテット・エクセルシオ第1ヴァイオリン奏者。
柳瀬省太

東京藝術大学音楽学卒業後、桐朋学園ソリスト・ディプロマコースに学ぶ。第52回ジュネーヴ国際音楽コンクールディプロマ賞。第1回淡路島しづかホールヴィオラコンクール第1位。
第1回松方ホール音楽賞、大阪文化祭賞受賞。2002年、文化庁芸術家在外派遣研修生としてイタリア・パドヴァに留学。マリオ・ブルネロ主宰のオーケストラ・ダルキ・イタリアーナで活動。2004年ドイツに渡り、シュトゥットガルト州立歌劇場管弦楽団に入団。2009年帰国、神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席ヴィオラ奏者を経て、2014年より読売日本交響楽団ソロ・ヴィオラ奏者。サイトウ・キネン・オーケストラのメンバー。松本、宮崎、北九州など音楽祭の参加、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏、室内楽シリーズ、ストリングクァルテットARCOのメンバーを務めるなど、室内楽奏者として活躍している。
辻本玲

東京藝術大学音楽学部器楽科を首席で卒業。その後シベリウス・アカデミー、ベルン芸術大学に留学。第72回日本音楽コンクール第2位(「聴衆賞」受賞)。2009年ガスパール・カサド国際チェロ・コンクール第3位入賞(日本人最高位)。2013年齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞。2019年CD『オブリヴィオン』をリリース(「レコード芸術」誌特選盤)。
サイトウ・キネン・オーケストラ、東京・春・音楽祭に参加するほか、チェロ四重奏団「クァルテット・エクスプローチェ」など室内楽でも活動。NHK交響楽団首席チェロ奏者を務める。
使用楽器はNPO法人イエロー・エンジェルより1730年製作のアントニオ・ストラディヴァリウスを、弓は匿名のコレクターよりTourteを、特別に貸与されている。
関連情報誌

水戸芸術館音楽紙 vivo270号[2025年6-7月号] 「カルテット AT(アット) 水戸」のインタビュー記事が掲載されている、音楽部門が制作の現場からお届けする音楽紙『vivo(ヴィーヴォ)』も是非併せてお読みください。
よみごたえある内容が満載です。
vivo(ヴィーヴォ)はこちらから。