マイケル・ジャクソン、ワム!をはじめとして、ポップミュージックの素晴らしさを布教する伝道師としても活躍するミュージシャンの西寺郷太さんが、新刊『プリンス論』を上梓しました。これを機に、80年代のシーンを席巻し、その後の音楽界に大きな影響を与えた5人のアーティストの魅力と功績を、プリンスとの関係性を軸に語ってもらいました。

vol.1 プリンス (1958~)

右手に包帯を巻いているのは、草野球の試合中、ピッチャー返しの打球が人差し指に当たり、骨折したためだとか。

この天才を知らずにいるのは“罪”である!

 CREA WEB読者の皆さん、こんにちは。ノーナ・リーヴスの西寺郷太です。

 僕は9歳のときマイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」という曲に出会って以来、洋楽に夢中になりました。そのため80年代の音楽には特別な思い入れがあって、これまで『新しい「マイケル・ジャクソン」の教科書』(新潮文庫)、『マイケル・ジャクソン』(講談社現代新書)、『ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い』(NHK出版新書)といった本を書かせてもらってきました。

 そんな僕の最新刊が『プリンス論』(新潮新書)です。

 キャッチコピーで〈ド助平にして崇高。ポップにしてアヴァンギャルド! この天才を知らずにいるのは、“罪”である〉と書かれてはいますが、現在30代の女性でしたら、おそらく名前ぐらいしか聞いたことないわという人がほとんどではないでしょうか。

 僕がこの本を書こうと思ったのは、プリンスという人物が多作家であると同時に時代ごとでスタイルを大きく変えてきたため、その天才ぶりがあまりにも伝わってないんじゃないかと思ったからです。

 意外にもこの『プリンス論』が日本人による初のプリンス解説書ということもあって、入門書としてもわかりやすいように彼の足跡を綴ってみました。僕の世代におけるマイルス・デイヴィス(1926~1991)、レイ・チャールズ(1930~2004)、ジェームス・ブラウン(1933~2006)のように、若い人たちにもプリンスという人はとにかくすごいミュージシャンだということがわかってもらえればいいなと思っています。

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2015.12.09(水)
文=秦野邦彦
撮影=榎本麻美