映画『羊をかぞえる。』で、本連載に前回登場の主演・染谷俊之らを引っ掻き回すキーパーソン・丸井を演じる廣瀬智紀。舞台「弱虫ペダル」で人気上昇中の彼が、自身の演技に対する想いの変化を語る。

所属事務所との運命的な出会い

――中学時代は書道部、高校時代はサッカー部に所属されていた廣瀬さんですが、小さい頃の将来の夢は何だったのでしょうか?

 今、思い返してみると、幼稚園から小学校低学年ぐらいのときに、ヒーローになりたいとか、プロサッカー選手になりたいと思ったことはありますが、それ以降はあまり具体的な夢を持っていなかったと思います。それに、自分から行動を起こすということが苦手な性格だったこともあり、あまり人前に出て何かをする仕事は向いていないと思っていました。じつは昔、歌が好きなこともあり、オーディション雑誌を買って、一度応募したことがあるんです。それで書類審査に受かって、二次審査のお知らせが来たのですが、ビビってしまって会場に行けなかったんです。そのとき、改めて自分は芸能界に向いていないんだな、と思ったほどです。

――大学2年生のとき、現在の事務所にスカウトされて、迷わず決めたそうですが、その理由はなぜですか?

 東京の大学に通うことになって、おしゃれなお店で働きたいと、恵比寿のカフェバーでバイトしていました。そこでいろんな業界の方と出会ったり、周りの方から芸能活動を勧められていたんですが、それである日、業界に詳しい友達からいろんな事務所の名前を教えてもらったんです。「そんな名前の事務所があるんだ」と思っていたら、その翌日に駅前で今の事務所(スターダストプロモーション)の方に声をかけられました。前日にスターダストの名前も聞いていたので、どこか運命的なものを感じたんです。1週間後にはレッスンを受けていましたね。

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2015.10.23(金)
文=くれい響
撮影=榎本麻美