映画『天空の蜂』で、前回登場した田口翔大くん演じる高彦の救出に挑む、航空自衛官・上条を演じた永瀬匡。現在、ドラマ「ナポレオンの村」にも出演中の彼が、ブレイクのきっかけになった仮面ライダービーストなど、これまでのキャリアを振り返る。

とにかく俳優になりたかった

――永瀬さんは映画『ラストサムライ』を観たことをきっかけに、俳優を目指されたとか?

 小学6年生ぐらいのとき、DVDで『ラストサムライ』を観たんですが、漠然と日本人としてハリウッドで活躍されている渡辺謙さんがカッコいいと思ったんです。でも、今そのことをよく考え直すと、俳優というフィルターを通すと、侍だったり、いろんな職業の人間になれることに、どこか憧れを抱いていたんだと思います。

――その後、11年にオーディションに合格され、事務所に入られたそうですが、そのときの心境を教えてください。

 俳優になりたい。そんな強い気持ちでオーディションを受けました。だから、事務所に入って、最初の頃は正直、どこか守りに入っていたかもしれません。他人からの見られ方を意識していました。せっかく自分を認めてくれた事務所に見放されたら、自分の夢が叶わなくなってしまうから。でも、それだとつまらない人間になってしまうと思ってたり、常に葛藤していました。その後、いかに辛いことでも、そのことに挑むスイッチをどのようにして見つけ出すか。それができるようになってからは、ちょっとだけ楽になりました。

――13年には「仮面ライダーウィザード」のビースト役に抜擢されましたよね。

 それまで演じた役のイメージから、新たな自分を作り上げて、一人の俳優として見られるようになりたいと思っていました。そんなときに、ビースト役をいただきました。こういう役で、そのときのイメージをどんどん崩していったら、果たしてどうなるか。そういう好奇心もあったからこそ、1年間の撮影も続けることができたと思うんです。だから、脚本を読みながら、役作りをするのが楽しかったです。

2015.09.04(金)
文=くれい響
撮影=山元茂樹