CMディレクター、グ スーヨンの自伝的小説を著者自ら監督した映画『ハードロマンチッカー』で、松田翔太演じる主人公・グーの弟分、辰役を演じたのが永山絢斗。肉体のみならず心にも突き刺さるバイオレンスシーンと刹那的な青春ドラマを演じ、新境地を開拓している

俳優を目指すきっかけとなった、一本の映画

――まずは、俳優を目指すようになったきっかけは何ですか?

 もともと、TVにも映画にも興味がなかったんです。それが中2ぐらいのときに『青い春』という映画を見て、こんなに面白い映画があるんだ、と大きな衝撃を受けたんですね。朝起きて見て、学校から帰ってからも見て、というように、ものスゴくのめり込みました。今までに、100回以上見ているぐらいです(笑)。

――そこまで、永山さんが『青い春』にハマった理由はなんだったと思われますか?

 思春期真っ盛りの中学生だったし、悶々としていたので、胸に刺さるものがたくさんある映画だったんです。それで映画に興味を持ち始めて、映画館にも行くようになりました。そのうち、少しずつこういう作品に関わりたい、役者になりたい、と思うようになって、俳優の世界を目指しました。

――その後、実年齢よりも上の刑事役を演じた『罪とか罰とか』、初主演作『ソフトボーイ』など、映画を中心に活躍されますが、俳優としてやっていくことを意識した作品などはありますか?

 こういう仕事を始めるときに、俳優としてやっていこうという意識は強くありました。転機となる作品をひとつに絞るのは難しいです。どの現場でも学ぶことは多いし、足し算でできていますから。いろんな作品をやって、その数カ月後には、また次の現場に入っています。あまり過去を振り返るようなことはないですね。

――自分の過去の作品を見返すことはありますか?

 自分の作品を見返すということはあまりないです。この仕事を始めてから映画の見方は変わったし、自分が出ている作品を客観的には見られないです。

次のページ 今まで演じたことのないハードな役柄

2011.11.18(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Miki Fukano
styling:Akira Maruyama
hair&make-up:Chie