LOVE:豚玉
野菜がたっぷり、キャベツいきいき。分厚くておいしいお好み焼き

大井町|お好み焼き 瀧

 まだ早いけど雑誌の世界では「今年のベストレストランは?」などという意見を求められる季節になりました(そんなにないけど)。

 今年、食べて「うわわわ」とテンションが上がったお店を一店挙げるなら、大井町の「お好み焼き 瀧」。リサーチで行き、取材で行き、そしてプライベートでも。先日ようやくカメラ片手にお邪魔することができたのでご紹介したい。

ふっくらと立ち上がった見事な立体型のお好み焼き。

 大井町は、駅前は大都会だが、ちょっと歩くと下町風情あふれる静かな街。「瀧」があるのもそんな場所だ。カウンターと小さなテーブルが2つあるだけの小さなお店で、店主のキミエさんがひとりで切り盛りしている。そして、とにかく隅から隅までピッカピカに磨き上げられているのに驚くはず。鉄板はもちろん、棚の上のほうとか、ダクトとか、見事にピカピカ。キミエさんの家はどんなにかキレイに片付けられているに違いない……。

 おすすめはもちろんお好み焼きなんだけれど、前菜もとっても美味。まず食べていただきたいのが「生わかめのナムル」で、ひとり一皿食べてもいいくらい。ごま油が適量で、ごまたっぷりで、その上を大量のねぎが覆う。生ねぎが少しずつしんなりするのが最高なのだ。

「生わかめのナムル」は最初のひと品に。あっという間になくなっちゃう。

 この日はつぶ貝があるということでチャレンジしてみた。お魚も「魚春」という老舗から上質なものを仕入れているので、実は魚料理もおいしい稀有なお好み焼き屋さんだ。この日はこはだや焼き〆鯖に惹かれたが、胃袋のキャパが足りず断念。つぶ貝は色よく煮上げられていて、小さなフォークでくるりと取り出す。肝まで味わい、煮汁も飲み干したいほど。

つぶ貝の煮物。いいつぶ貝だからか、しっとりと柔らかく、噛むほどに滋味。

 そして、お好み焼き屋さんに来たからには鉄板技を楽しまないと! ひとつめはここに来て必ず食べたい「とん平焼き」。分厚いロースを鉄板で焼き上げ、卵でくるりと包み、ソースをたっぷり、青のりもどっさり。卵がふんわりしていて、これまでとん平焼きにはさほど興味がなかったけど、すっかり好きになってしまった。私的にはごはんが欲しくなる~。

卵のふわふわ具合を見よ! 豚は「ロイヤル三元豚」で、これまた上質。

 もうひとつ、卵かぶりしても食べたいのがだし巻き卵。布団のようにふかふかと広がる逸品! ねぎ率が非常に高く、鉄板に広げた大量のねぎを卵液で四角くまとめていくという感じ。ほぼねぎでできているが、卵のつなぎでふかふかしているという状況だ。

強烈なルックスのだし巻き卵。中はねぎ満載。キミエさんは毎日どれだけのねぎを刻んでいるのだろう。

2015.10.08(木)
文・撮影=北條芽以