Magnificent View #711
紀元杉(鹿児島県)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 「東洋のガラパゴス」とも呼ばれるほど、稀少な固有種が豊富な鹿児島県の屋久島。なかでもよく知られているのが、屋久杉だ。屋久杉というのは、屋久島の標高500メートル以上に自生する、樹齢1000年以上の杉のことを指す。

 樹齢7200年の縄文杉をはじめ、島には、多くの屋久杉がある。それらの多くは、鑑賞するには何時間もの登山が必要だが、比較的容易に見ることができるのが、ご覧の紀元杉だ。推定樹齢は3000年。樹高19.5メートル、胸高周囲8.1メートルの大きさを誇る。

 屋久杉は他の草木が着生するのが特徴で、この紀元杉の幹にも、ヒノキやヤクシマシャクナゲ、ナナカマドなど数多くの植物が育っている。表面がゴツゴツしているのは、杉に害を及ぼすウイルスと戦ってきた証だ。

 静寂の森の中、堂々たる老大木のたたずまい。そこには、見るものを感動させる圧倒的な存在感がある。

Column

今日の絶景

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2015.09.11(金)
文=芹澤和美