ターニングポイントとなった空白の半年

――また、『GANTZ』2部作でも桜井弘斗という重要なキャラを演じていますよね。

 でも、このときは演技力が追い付かず、いろんな方に迷惑をかけてしまったと思います。『GANTZ』が公開された半年後ぐらい、いろいろなことが重なって、半年間まったく芝居しない時期が来るんです。こんな気持ちで続けられる職業じゃないと痛感する時期でした。ちょうど「仮面ライダーウィザード(以下、ライダー)」のオーディションに受かるまでの半年、時期的にいえば11年の終わりから12年の半ばですかね。

――その半年間は、どんな期間だったといえますか。

 これから心機一転、心を入れ替えて、この仕事を続けていくのか。それとも事務所を辞めて、別の仕事を探すのか。そのような深刻な選択を迫られたんです。当時はまだ大学に行っていたので、このまま就職活動しようとも思っていたんですが、辞める原因がブレイクしなかったから、というのはとても悲しい話。だから、もし辞めるんだったら、一度ブレイクしてから辞めるぐらいの気持ちに切り替えて、役者を続けることにしました。ちょうど、その頃にマネージャーから「ライダー」のオーディションの話を聞いたんです。それを機にブレイクとはいかないまでも、少しずつ仕事をいただけるようになりましたから、この空白の半年が自分にとって、大きなターニングポイントになったと思います。

――そうして主人公・操真晴人を演じることになる「仮面ライダーウィザード」では独特なヒーロー的セリフまわしに苦労されたそうですね。

 今までそういったお芝居をやってきたこともなく、どこかで抵抗があったのは事実です。あえてカッコつけてやることが正解だと思うんですが、それが最初は上手くできなかったんです。

2015.06.05(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央