目の前は海。美味しいものがないはずがない。ロケーション、食材、技術、サービス、すべてにおいて最上クラスのレストランが、ここには数えきれないほどある。

 その中から、3ツ星、1ツ星の代表と、星はなくてもサン・セバスチャンの食のクオリティを証明する店を自信をもって紹介する。

» 第1回 サン・セバスチャンの3ツ星代表「アケラレ」
» 第2回 美しさと独創性が光る「ココチャ」
» 第3回 絶景レストラン「ミラドール・デ・ウリア」

◆ Branka (ブランカ)

地元で獲れたボガバンテ(ロブスター)と季節の野菜のサラダ。マスとエビの卵がちりばめられている。一口食べれば、どれだけ新鮮か分かり頰が落ちそう。

 ここには、有名なシェフはいないが、名物女性オーナーがいる。“新バスク料理”の世界は男性中心だ。元々サン・セバスチャンには男性だけで集まって食事を作る会「美食クラブ」なるものが存在し、料理=男社会という歴史は未だ健在。その中にあって、ラ・コンチャ海岸沿いの特等席に2003年2階建ての店をオープンさせたのが、クリスティーナ・イサギレ。

「女性にとっては難しい世界。自分は料理をしないので余計に入るのが大変だった。でも私はうまく敵をかわしながら行きたいところに行くのが得意だから(笑)」

 なんのその、店には来店したハリウッドセレブの写真がずらり。料理も、星付きレストランに引けをとらないクオリティだ。気取らず安心して行けるレストランだ。

Cristina Izagirre(クリスティーナ・イサギレ)

サン・セバスチャン近くの村で生まれる。祖母が始めたレストランを父が受け継いでいた。料理には興味がなかったが、接客とマネージメントに興味があり、「ブランカ」をオープン。2014年11月、街中に2店目を開業。

撮影=橋本 篤