田舎町の収穫祭で、1930年代にタイムトリップ

あちこちで鉄鍋入りチリビーンズが湯気を上げる。お昼にコンテストがあるそうでみんな真剣。

 オズボーンという町で、1975年から年に1回開催されている秋の農業祭「ヘリテイジ・デイズ」に運よく巡りあった。なんといっても準備に1年をかけて、1930年代の収穫祭「ヘイデイ」の日を再現してしまうという大掛かりなものなのだ。

大きな番犬がいる開拓民の小屋。ここでもチリビーンズが湯気を上げている。
ポップコーンも鉄釜で。出来立てホカホカの香ばしさは抜群。

 ホテルやグロサリーストア(食料品店)などは看板も上げて、開拓民のテントの横ではチリビーンズが鉄鍋で湯気を上げている。家の中にも椅子に穴が開いただけの便器があって、葬儀屋には棺桶まで。参加の人たちは、胸当てのついたごついジーンズや開拓民のような格好で歩いているが違和感がない。

 近隣の農家の手作りのジャムやシロップ、せっけん、アーミッシュの手織りの敷物も売っていて、その充実度たるやなかなかのもの。日本で言えば、ガマの油売りのような薬売りのプレゼンテーションは、「肩こりの原因はコレ」と耳からコインを出すような診察ぶりが笑える、まさにコメディショーだ。しばらくお祭りの中にいると、なんだか自分も1930年代のアイオワで過ごしているような気分になってきた。

薬を処方する先生の“ありがたい”お言葉にみんな爆笑。

 アイオワのこうした農業の村々を支えてきた雄大なミシシッピ川の流れをパイクス・ピーク州立公園から見て、次は、ミネソタ州ミネアポリスへ。ミネはネイティブアメリカンの言葉で水を意味するという。悠々としたミシシッピ川が流れる大都会で、スパイシーなカクテルから朝をスタートする。

パイクス・ピーク州立公園から見たミシシッピ川。

【取材協力】
アイオワ州観光局
URL http://www.traveliowa.com/

ミシシッピ・リバー・カントリーUSA
URL http://www.mrcusa.jp/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

2015.03.18(水)
文・撮影=小野アムスデン道子