言葉尻とらえ隊

能町みね子

「週刊文春」で好評連載中の『言葉尻とらえ隊』がオリジナル文庫として書籍化されました。早速読んでくれた読者から「あのネタがない!」とのご指摘が……。そんなわけで、惜しくも本には掲載されなかった“ボツネタ”の中から復活リクエストの多かったものを集め、「言葉尻ボツネタ祭り」を開催します!

「わいるどぉ♡」

浜崎あゆみTwitter  2012年6月13日

 今日、私がネット上で目にしたニューストピックに「『やたらとロン毛』あゆに絶賛」というものがありました。

 ずいぶんと重要度の低そうな話題が記事になってるな、と思いつつ内容を見てみると、浜崎あゆみがイメチェンしてロングヘアにした姿をツイッターで公開し、ファンからは絶賛の声、という、それだけの話なのでした。

 それ以外の何でもない。おそらく浜崎あゆみ自身も、こんなふうにニューストピックになるなんて全く思わなかったでしょう。

 さらに、このニュースの発信元は、本文に余計な一言をつけている。以下抜粋。

「浜崎は13日、『これから暑くなるとゆーのに、やたらとロン毛にしてみた。わいるどぉ♡』と人気芸人スギちゃんのネタを織り交ぜながらイメージチェンジした姿を公開」

 いま流行っているスギちゃんのフレーズは、「ワイルドだぜぇ」です。「わいるどぉ♡」という言い方はない。

 この発言は別に、スギちゃんのネタではないのでは? 言葉の一般的なつかい方をしただけじゃないの?

 しかし、おそらくこの記事の筆者は文の内容に若干の物足りなさを感じ、そういうことにした方が話題に華が出ると思ったのでしょう。

 読めば読むほどどうでもよい話ですが、このニュースはおそらく別の者の手によって選ばれ、筆者の知らぬ所でほかの全国民的に重大なニュースとともに並べられてしまった。結果、同列のニュースとして並んでいたのは「6歳未満で初、脳死臓器提供へ」である。違和感はぬぐえない。

 髪型を変えたことを気軽に呟いただけなのに、そのことをほかの重大ニュースと並列で晒されたうえ、勝手に流行りに乗ったと見なされてしまう浜崎あゆみ。誰が悪いわけでもないけれど、気の毒でしょうがない。

2012/6/28

 

    1 / 1

能町みね子 近況

テレビに出ないつもりだったのに年末年始にちょこちょこ顔を出している優柔不断野郎になっています。と、同時に、商売と何の関係もない「好きな男アンケート」を言われもしないのにananを引き継ぐつもりで集計しているので、年末年始大変です。自己責任です。

プロフィール

2006年『オカマだけどOLやってます。』(竹書房)でデビュー。著書に『くすぶれ!モテない系』(文春文庫)、『ときめかない日記』(幻冬舎)、『雑誌の人格』(文化出版局)など多数。現在「週刊文春」ほか多くの連載を持つ。「久保ミツロウ・能町みね子のオールナイトニッポン」(ニッポン放送)で2014年3月までパーソナリティーを務めたり、「久保みねヒャダこじらせナイト」(フジテレビ)に出演するなど、ラジオ、テレビでも活躍中。

連載コミックエッセイ

もっと見る

ページの上部へ