井本陽子さん
家族:夫、長女5歳3カ月、次女3歳3カ月

会社名:大手エンターテインメント企業
肩書:経営戦略スタッフ(当時)
仕事:自社内の経営戦略の立案、事業の戦略的サポート

 取材場所に現れた井本さんは、2児のママには見えない“ふんわり”とした印象の女性。しかし話を聞いていくと、「子どもがいるということを絶対に言い訳にしない」と覚悟を決めた、凛とした人間像に印象が変わった。

 体育会系水泳部マネージャーとして過ごした大学時代、学んだのは、「ベストを尽くすことの大切さ」だった。これは今も変わらず、子どもが生まれてからは「ママでもパフォーマンスを上げていけるよう、子どもがいるから仕方がないと思われないよう、仕事の質の向上を心がけるようになった」と話す。

 大学卒業後は外資系投資銀行に就職し、ニューヨーク勤務も経験。巨額なお金が動き、大小様々な企業が買収されたり、売却されていく様を目の当たりにした。「とにかく忙しくて昼夜なく働く毎日。そのうちにお金を動かすことよりも、人とダイレクトに接して喜ばれるような仕事をしたいと思うようになりました」。そんな時、今の会社の募集を見て転職を決めた。現在の大手エンターテインメント企業は、出産後の働き方に真摯に耳を傾けてくれるママ・フレンドリーな会社。保育園のお迎えのため、毎日ほぼ17時半に会社を後にするが「震災後は社内でも残業削減したため、残業できないことは問題なくなった」のだそう。

 急な保育園の呼び出しにも対応できるよう、チーム内の仕事の徹底的な透明化・共有化にも心を砕く。他の人が困らないように共有フォルダ内をきちんと整理し、頭の中で考えていることやちょっとしたアイデアも全て文字化して残しておく。

一瞬でミンチやみじん切りができるブレンダーは忙しいママの強い味方。

 17時半に仕事を終えると、子どもを迎えに行く車の中で帰宅後の段取りを頭の中でシミュレートし、家に着いてからはその流れの通りに作業をこなすのがスムース家事の鉄則。忙しくても食事は手づくりする井本さんにとって、お役立ちなのが「ブレンダー」だ。材料を入れてスイッチを入れるだけで、みじん切りからポタージュスープ、ちょっぴり手の込んだ料理も楽々でき上がる。ウィークデイは夕食準備に、時間のある週末はデザート作りまでブレンダーひとつででき、付録でついていたレシピ本のメニューは全て制覇した。離乳食に便利と聞いて購入したが、今の方がずっと使用頻度が高いという。

2014.11.27(木)
文・撮影=HITOMINA