【WOMAN】
女のホンネも人生も千差万別。いじらしく愛おしい7つの物語

 岡崎京子の『くちびるから散弾銃』は、ガールズトーク形式を発明&採用し、80年代後半を生きる女の子たちの本音を記録することに成功した。

 岡崎の系譜を継ぎながら、2010年代の女の子たちのリアルな本音を活写するのが、マキヒロチだ。今ハヤりの朝食漫画……と思いきや、恋することと働くことの間で揺れ動く女の子の心理を詰め込んだ『いつかティファニーで朝食を』(既刊5巻、連載中)もすごいが、初の作品集となった本作もものすごい。

 ある短篇では、浮気した彼氏と別れた女の子が、女友達に「ショックだったでしょ」と問われ笑顔でひと言。「欲に勝てなくてダサイ人なんだなぁって思った」。

 別の女の子は、ツイッターでは夢に向かって頑張るとつぶやきながらなんにも行動しない女友達に対して、「本当にがんばってる人はがんばってることを逐一人に報告しないよ」。

 ホントのホンネは、読んでるこちらのホンネ心も、覚醒させる。

『サヨナラフラグ』 マキヒロチ

もう好きじゃなくなってしまった恋人のこと、どんな目で見てた? 昔別れた理由は、服がダサくて一緒にいたくなかったからじゃなかったの?! 「サヨナラ」に直面した男女を題材に、男心と女心のギャップを描いた全7篇収録の作品集。男子の本音も、ぎっしり詰まってます。
祥伝社 648円
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Column

男と女のマンガ道

男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!

2014.09.03(水)
文=吉田大助

CREA 2014年9月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

おいしい読書

CREA 2014年9月号

食の本大特集 おなかがすいたら
おいしい読書

定価780円