不定期に開催されるテーマ展示も

 店の一角では不定期に様々な展示もある。香港の食卓というテーマでは1960~70年代の食器を紹介、一部即売していた。小さなれんげは子供用、ピンクのお椀は漢方茶用、など小さなタグで説明がつけられている。数十年前の、最近はほとんど街で見かけなくなった食器に触れる貴重な機会となるだろう。

「香港の食卓」展より。昔の香港映画でしかお目にかかれない食器が並ぶ。

 店名「貘記」の貘(バク)は人の悪夢を食べる空想上の存在だ。この生き物が大好きというオーナー、傑さんは貘は中国の想像の生き物なのに香港より日本でよく知られているみたいだね、と笑う。彼は雑誌編集者であり、パートナーの閃さんは劇作家だ。2人の好きな雑貨を扱う空間は、彼らの雰囲気そのままにやさしい。

 週2日だけ開くことといい、一点ものの生活雑貨といい、「貘記」の中はまるでフリーマーケット。宝探しのような、楽しい気分になる。それが路上ではなく、喧噪を見下ろすビルの一室というのも香港らしい。

貘記 (Makee)
所在地 香港湾仔軒尼詩道365號富徳樓8樓
営業時間 火曜、土曜日 15:00~19:00
※支払いは現金(香港ドル)のみ、カード不可

久米美由紀(くめみゆき)
東京より香港暮らしの方が長くなった在住フォトグラファー。街中だけでは飽き足らず、海の底、山の中のモノまで撮って、食べ尽くします。

Column

気になる世界の街角から

世界の12都市から、何が旬で何が起きているかをリポートするこのコーナー。
その街に今すぐ飛んで行きたくなる情報ばかりです!

文・撮影=久米美由紀