境内に住む「守猫」がTwitterで人気

すでに赤く塗られた軒と、それを支える木組み。「万葉集」に歌われ奈良の枕詞となっている「あをによし」の「あを」は屋根瓦、「に」は柱などを彩るこの赤ともいわれる。
中金堂の外観ができあがりつつありました。足場が組まれたお堂は、今だけしか見ることができない光景。
興福寺中金堂から東大寺や若草山が見渡せた。松尾芭蕉が「奈良七重七堂伽藍八重ざくら」と詠んだ頃には、焼失前の中金堂が建っていたのです。

 1976年の薬師寺金堂復興に始まり、平城宮跡朱雀門や、平城宮跡第一次大極殿正殿の復元工事など、奈良市では白鳳~天平期にかけての建築物の再建が続いています。そして今回の興福寺中金堂は、藤原不比等の発願により714年に竣工した興福寺における中心的お堂の忠実な再建。1300年の時を経て天平の息吹を伝える場がまた一つ、世界遺産となった古都奈良に。

東金堂(国宝)の前で物思いににふける(?)鹿。この辺りにいる鹿たちは人馴れしています。でもイタズラしたり、人間のお菓子を与えたりはしないでくださいね。
五重塔(国宝)の前にも鹿、鹿、鹿……。
勧進所で受付けている屋根瓦の寄進。願い事を書いて奉納することが出来る。

 興福寺では、落慶までの間に再建中の中金堂を一般公開することも検討されているとか。実現したら訪ねたいという方も多いのではないでしょうか。国宝、重要文化財を多数有する興福寺ですから、折々の特別公開も見逃せません(ちなみに興福寺境内でのんきに過ごしている鹿たちも国の天然記念物。野生なのです)。折に触れて参拝することが再建の一助となるかも。

 現地に赴くことが難しくても、もちろん寄与できます。中金堂に葺かれる瓦(実に10万枚にも及ぶのだそう)などの寄進は、遠方からでも申し込むことが可能です。詳しくはこちらのページをご覧ください。

興福寺公式サイト 中金堂再建勧進のお願い
http://www.kohfukuji.com/kanjin/rebuild.html

 ところで最近、北円堂の辺りで見かける野良猫親子が人気です。通称「守猫(もりねこ)」として親しまれていて、Twitterなどで検索すると「守猫」ファンが 撮影したかわいい(または、ふてぶてしい)写真を見ることができます。世界遺産・興福寺さんに見守られている(ぜいたくな!)猫たちです。

いっささんのツイートより。
興福寺非公式応援大使、招杜羅 (しょうとら) さんのツイートより。

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2014.05.29(木)
文=砂川みほ子