たくさんの人に子育てにかかわってもらう

 家弓さんは借家である自宅のリビングをイベントスペースとして解放し、「みんなで楽しさをシェアしよう」ということを実践している。

 定期的に「みそ作り」「ウメシロップ作り」「編み物ワークショップ」などを行う家弓さんの家は「人の集う家」だ。集うのは近所の友人、ママ友、そしてルームシェアをする、まだ子どもがいない人たちなど。「こんな場があってうれしい」と言われることが何よりの励みだ。

 子育てに関しても、母親ひとりで子育てを抱え込もうとする気はさらさらない。

「子どもって、『親だけの子』じゃないでしょう。『未来の子』なんです。だから子どもはみんなで育てたい。お隣さんが叱ってくれるような人間関係が理想です」と語る家弓さんは、なるべく多くの人たちと自分の子どもが関わることを望んでいる。このオープンな思想は、家弓さんによればフランスでの経験から来ているかもとのこと。フランスではいわゆる居酒屋のような店がなく、何かと言えば、集まるのは個人宅だった。そして個人宅でのパーティでは初対面の人も誰でもウェルカムだったそうだ。そこから新しく生まれる関係にパワーがあることを、知らず知らずのうちに家弓さんは会得したのかもしれない。

 空間を提供する一方で、家弓さんは現在ルームシェアメイトやママ友に助けられることもしばしば。子どもと遊んでもらっている間にお風呂の準備をしたり、ご飯を作っていっしょに食べたり。

豆乳を注ぐだけ。栄養満点のヨーグルトはいつでも簡単にできる。

 子育て中のママにとってうれしいのは、実はそんな生活の中の細切れのサポートだ。シェアメイトには、自分が欲している、ほどよい距離感が合致する人を選び、お互いが負担にならないよう気を配る。

 近隣の友人にも、自分が病気で倒れたときに助けられたこともあり、ご近所付き合いのありがたさを痛感させられたという。

今日は豆乳ヨーグルト+バナナ、各種ベリー、ビーポーレン(=みつばち花粉)。

 そんな家弓さんの生き方の基本はオーガニック。しっかりと作られた野菜をシンプルな味付けで調理する。

 朝食は毎日、おにぎり+豆乳ヨーグルト、もしくはおにぎり+味噌汁と決め、シンプルではあるが体にいいものを選び、献立を考える手間や調理時間を省く。

 とくに豆乳ヨーグルトは定番だ。密閉容器にほんの少しのヨーグルトを入れ豆乳を加えておけば、1~2日(夏場なら半日程度)で再びヨーグルトになる。ときどきケフィアヨーグルトの菌を加えればまたヨーグルトとして復活。そこにアサイーやフルーツなどを載せれば、オシャレ度もヘルシー度もアップ。

 人はひとりでできることは限られている。たくさんの人の手があれば、いいことは増え、つらいことは減るのかもしれない。

 また、「たとえパパがいなくても、シェアメイトや近所の友人たちがいつでも来るおうちに住んでいることで、みんなに育てられているという安心感を子どもに与えたい」と家弓さんは言う。

 どんな状況であったとしても、自分次第でいくらでも自由に、おおらかに、柔軟に子育てはできるのだ。

Column

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2014.06.19(木)
文・撮影=HITOMINA