38歳のとき、本格的に演劇を学ぶためにニューヨークに渡った。「20~30代は、40代に個性を確立するための準備期間」と話す徹子さんは、80歳になった今も、日々、学ぶことをやめない――。

» 第1回 38歳からのニューヨーク留学の日々

番組の中で歴史の勉強ができるなんて!

アパートの部屋の前で。ニューヨーク時代の写真は『チャックより愛をこめて』(文春文庫)に掲載したもの。

 学ぶということでは、「世界ふしぎ発見!」は、私にとって最高の学びの場です。番組が始まる前まで、私、クイズ番組には一度も出たことがなかったんです。クイズ番組に出て、答えを外して、「黒柳徹子はバカだ!」と言われるのが嫌だったので(苦笑)。私が何で「世界~」で着物を着ているかというと、「たぶんクイズに正解はできないだろう。でも、着物を着ていたら、私だってわからないかもしれない」と思ったからなんです。でも、スタッフの人からは、(あきれた口調で)「わかります!」とか言われちゃった(笑)。

 出演をお引き受けすることにした最大の理由は、1時間の番組の中で歴史の勉強ができると言われたからです。私、歴史の勉強をしないで死ぬのは嫌だったの。学生時代、ほとんど歴史を勉強できていないんですね。教科書を墨で塗られた時代ですから。戦争前、日本は2600年の歴史があると教えられていたのに、終戦後は西暦が採用されて、1945年に戦争が終わったことになったの。歴史の教科書も国語の教科書も墨で塗られてしまったので、知識としてはひどいものでした。

自転車でぶらっとセントラルパークまで。レッスンのない日は、必ず昼頃にお散歩に出かけていた。

 クイズを引き受ける条件には、「何をやるか、テーマだけ教えてください」とお願いしていたんです。でも、私のクイズの正解率が上がってくると、ディレクターがいろいろ用心するようになって。前に、ロケのスタッフと、偶然パリ行きの飛行機が一緒だったことがあるんですけど、そのとき、「どこに行くの?」って声かけたら、「いえいえ」って返されちゃった(笑)。どこに行くかぐらい教えてくれたっていいじゃない、ねぇ(笑)。私はパリで乗り換えてから、アフリカに向かう予定でした。それで乗り換えのときに、「荷物を出すの?」って訊いたら、その答えも「いえいえ」。そこまで用心しなくても、と思うのだけれど(笑)。

 こんなこともありました。以前私は、いつも、有栖川公園にある都立中央図書館に行っていたんです。私がある本に手を伸ばしたとき、隣でどさっと本を落とした人がいて、あとでわかったんですが、それが「世界ふしぎ発見!」の問題を出すスタッフだったの。私は知らない人です。彼女は、私が手を伸ばした本から、問題を出したらしくて。慌てて帰って「黒柳さんが、出題した内容の書かれた本に手を伸ばしてました!」って報告したみたい(笑)。200ページもある本ですよ。ちなみに答えは間違ってました(笑)。

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2014.04.21(月)
文=菊地陽子
写真=吉田事務所

CREA 2014年5月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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