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今こそ考えたい猫と防災。災害時に愛猫を守る方法とは?

 近年の日本では、毎年のように全国各地で地震や自然災害が発生しています。その中で、ペットの防災対策も大きな課題に。災害時に愛猫を守るためには、どう備えたらいいのでしょうか?

「今の時代、避難グッズを用意なさっている方も多いと思いますが、人間の分だけでなく、猫に必要な避難グッズが揃っていないと、同行避難が難しくなってしまいます。最低限用意していただきたいのは、1週間分のフードと水。お薬を飲んでいる子なら常用薬も忘れずに。

 アニコムでは、こうした防災用品のリストをまとめた防災手帳もご用意していて、WEBサイトから無料でダウンロードできるので、ぜひチェックしてみてください」

 この防災手帳には、愛猫の身体の特徴やマイクロチップ装着の有無、既往歴や食事・排泄パターンなどを記入する欄があるので、災害時に同行避難が叶わない場合に預け先に託したり、万が一はぐれてしまった時の捜索などがスムーズに進み安心です。

「猫は外に出る習慣がないので、災害時にパニックになって家を飛び出してしまい、そのまま迷子になってしまうケースが非常に多いんです。アニコムでは、ご契約者様向けに『迷子捜索サービス』を行っていますが、今回の能登半島地震でも、犬の迷子相談件数に対して圧倒的に猫が多く、約80頭にものぼっています(2024年2月末時点)」(兵藤さん)

 また、猫は日頃からリードをする習慣がない子が多いので、一緒に避難しても車中泊を余儀なくされたり、慣れない場所での避難生活は脱走のリスクも高いそう。

「避難所など大勢の人がいる公共の場では、キャリーやケージに入っていてもらうことはもちろんですが、万が一に備えてリードやハーネスの装着が役立つことがあります。普段から脱着のトレーニングをして慣れさせておくと、飼い主さん自身も災害時に落ち着いて対応できるでしょう」(兵藤さん)

 ペットが健康で長生きできることはもちろん、いつか動物と話すことが人生の夢という兵藤さん。

「そう遠くないうちに、犬や猫と会話ができる日が来ると真面目に思っています。そんな幸せな未来に向けて、『家庭どうぶつ白書』が少しでもお役に立てるように、地道にデータを集めて、一人でも多くの人に届けて行きたいです」

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お話を伺ったのは…

アニコム ホールディングス株式会社
広報・獣医師 兵藤未來さん

『家庭どうぶつ白書』の編集を10年以上担当。獣医師としての知識を活かし、情報発信や加入者ペットの悩み相談にも対応している。

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2024.03.09(土)
文=田辺千菊(Choki!)
写真=深野未季、Aflo