高木さん一家が引っ越した新居は……

 結局、高木さんは別の家を選んでそこに引っ越すことにしました。

「ママ、またおにぎりの家に行きたい! あそこであのお兄さんに会いたい!」

 あの日以来、息子さんが時折そうぐずり出すことが最近の悩みという高木さん。

 “あのお兄さん”、それはきっと不動産屋さんの青年のことを言っている、そう何度心に言い聞かせても、“あのとき屋根裏にいた別の何か”のことを言っているのではないか、そんな思いが消えてくれず、日に日に高木さんの中にも確かめたいという気持ちが高まっているのだとか。

 ちなみに、高木さん一家が引っ越した新居は、あの「おにぎりの家」から徒歩10分ほどで行ける距離にあるそうです。

2024.02.03(土)
文=むくろ幽介