消費税UPだけじゃない!
アベノミクスショックをどうやって乗り切る?

 4月からの消費税8%スタートを前に、日本中が右往左往している今日この頃。でも、対策を講じるべきは消費税アップだけじゃなかった! 物価の急上昇に、保険制度の変更ラッシュ……。お金の最新知識を取り入れて、アベノミクス下での上手なマネープランを考えよう。

CHAPTER 1 [貯蓄]
Navigator ファイナンシャルプランナー 深野康彦さん

「預金だけではお金の大転換期に対応できない」と言って、稼いだお金をすべて投資に回すのは危険。まずは、ある程度の貯蓄をすることからスタート!

まずは貯蓄。とは言え、この物価上昇に勝てる方法はある?

「給料より配当を狙う」ためには、投資資金をどう貯蓄するかが第一の課題。

 だが昨年3月を底に物価が急上昇したことにより、銀行預金では資産を殖やすどころか目減りしてしまう状況だ。

「2013年11月の生鮮食品を除いた消費者物価指数は前年比1.2%。それに対して、1年物定期の金利はこの2年間、0.025%の据え置きです。少なくとも消費者物価指数=預金金利でなければ現金価値をキープできないのに、2013年6月に消費者物価指数>預金金利となって以来、差は開く一方。しかも日銀は2014年末を目処に物価上昇率2.0%達成をめざしている。このままでは現金の価値はさらに下がります」(深野さん)

 この現金価値の変化を、パリ旅行を1年後に持ち越した場合を例にしてみましょう。昨年11月の物価上昇率1.2%で考えると、1年後にはパリ旅行は3600円値上がりするのに、1年定期(預金金利0.025%)で銀行に預けた旅行資金は75円しか殖えていない。この3525円の赤字が、資産の目減り分だ。

 貯蓄をするには、もはや超節約生活をするしかないのだろうか。

「もちろん多少の節約は必要です。でも次ページで紹介するように、安全性が高く、利回りも良い貯蓄法はまだあるんですよ。投資開始の目安は、4カ月分の生活費=自己都合で会社を辞めてもしばらく暮らせる額が貯まった頃。投資を始めた後も、資産の半分以上は安全な商品で運用を」(深野さん)

パリ旅行、1年後に延期すると損!?

 パリ7日間30万円の旅行に行く予定だったが、1年後に延期するとする。せっかくなので旅行資金30万円を1年間の定期預金に入れようと考えたが、金利はわずか0.025%。1年経っても、30万円×0.00025=75円の利息しかつかない。1年後の預金総額は30万75円(税引前)だ。

 一方、直近の物価上昇率(2013年11月の1.2%)を元に、1年後のパリ旅行の代金を算出すると、30万円×1.012=30万3,600円。旅行資金の30万75円と比べると、3525円の赤字となってしまう。

 なお、日銀が達成目標にしている物価上昇率2.0%だと、1年後のパリ旅行の代金は30万円×1.02=30万6000円。5925円の赤字だ。

 ちなみに±0になるのは、物価上昇率が金利と同じ0.025%のとき。

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2014.02.07(金)
文=生島典子
イラスト=浦野周平(Shu-Thang Grafix)

CREA 2014年3月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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