●常に違うスタイル、ジャンル、テーマの作品を撮れる映画監督に

――今後の希望・展望、そして3作目の長編監督について教えてください。

 3作目では、30代の同性愛者を主人公にした、つまりは自分のプライベートにまつわるテーマの作品を撮ろうと思っています。

 将来的にはポール・トーマス・アンダーソン監督やヴィム・ヴェンダース監督、アン・リー監督のように、常に違うスタイル、違うジャンル、違うテーマの作品を撮れる映画監督になりたいです。

――今年の「東京国際映画祭」で上映された『離れていても』(23年)では、憧れだったスタンリー・クワン監督とともにプロデューサーを務められていましたね。

 スタンリー・クワン監督と初めて出会ったのは『トレイシー』が出品され、彼がコンペティションの審査委員長を務めていた2018年の東京国際映画祭でした。

 そして、『離れていても』のプロジェクトが動き出したときに、「ベテラン監督にメインのプロデューサーをお願いしたい」と思い、クワン監督に脚本を読んでもらいました。そして、脚本を気に入ってくださったことでプロジェクトに参加してもらったのですが、とても光栄なことでした。

ジュン・リー(李駿碩)

1991年8月3日生まれ。香港出身。17年、短編『瀏陽河(日本未公開)』が香港芸術発展局主催の「Fresh Wave」において、最優秀作品&監督賞をW受賞。18年、フィリップ・キョン主演の『トレイシー』で長編映画デビュー。香港電影金像奨で全9部門にノミネートされるなど、国内外で高い評価を得る。

『香港の流れ者たち』

再開発による高層ビル建設ラッシュに沸く下町・シャムスイポー。刑務所から町に戻った麻薬中毒者ファイ(フランシス・ン)は、ホームレス仲間とともに再び高架下で暮らし始める。ある夜、食物環境衛生署の職員が事前通告なしに現れ、家も身分証明書も失った彼らは、新人ソーシャルワーカーのホー(セシリア・チョイ)の助けを借り、政府に対し賠償と謝罪を求める裁判を起こす。だが、和解金を得られることになったことにより、意見が割れてしまう。
©mm2 Studios Hong Kong
12月16日(土)よりユーロスペースほか、全国順次公開
https://hknagaremono.wixsite.com/official

Column

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2023.12.22(金)
文=くれい響