この記事の連載

赤の食材、おすすめなのは……?

 赤いおすすめ食材、ナンバー1は枸杞(くこ)の実です。世界三大美女と謳われた中国の楊貴妃や、現代ではファッションモデルたちがおやつ代わりに食べるスーパーフードとしても知られています。英名は「gojiberry(ゴジベリー)」。名前にピンとこなくても、杏仁豆腐の上にちょこんとのっている赤い実を見たことがありませんか?

 枸杞の実は肝臓にも、腎臓にも効果があるといわれ、血や水など身体の体液すべてに作用し、潤いを高める効果も期待できます。肝臓は目にも関係するので、目が疲れやすい方はぜひ口にしてください。疲れ目のほか、ドライアイ、紫外線から目を守る効果もあります。

 またビタミンも豊富なので紫外線による肌へのダメージを軽減できます。以前、NHK BSの健康系の番組に出演して、ダイエット向きの薬膳料理をお披露目したのですが、その番組の中で「枸杞の実は紫外線によるシミにも有効だ」という研究結果が報告されていました。それ以来、今まで以上に、私も枸杞の実を食べるようになったのは言うまでもないでしょう。

 ただし、気をつけなければならないのは、その量。身体は同じものを沢山食べると体質が偏ってしまうので、食べすぎは禁物です。よい効能があるものほど、食べすぎてはいけません。薬は毒にもなるのです。一日大さじ1杯を目安に、週3、4日程度食べるのがいいでしょう。

貧血気味の人は棗を食べよう

 次は棗(なつめ)。疲れをとり、胃腸を整え、精神を安定させ、血を補う効果があるといわれます。貧血気味の方にぜひ食していただきたい食べものです。中国では「一日3粒食べると医者いらず」ということわざがあるくらい、とても栄養価が高く、身体にいい効能を備えた食材です。生薬として多くの漢方薬に使われているのも、素晴らしい食材である証拠ですね。

 そのまま食べてもよし、参鶏湯などのスープに加えてもよし、コトコト煮込んでジャムにしてもいいです。豚の角煮を作るときには、その煮汁にも入れています。疲れの回復と血を補う料理として、家族のためだけでなく、自分のためにもせっせと作って美味しくいただいています。

 棗は自然な甘みをプラスできるので、砂糖と置き換えて、いろいろな料理に活用できます。焼き菓子や蒸しパンなどにも使えますよ。ただし棗は皮が固いので、一度少し煮込んで柔らかくしてから使ってみてください。赤色食材を味方にできたら怖い物ナシ! ですね。

谷口ももよ(たにぐち・ももよ)

「健康は日々の食卓から」と「美食同源」をテーマに、身近な食材を使った簡単で美味しい薬膳レシピを提案。なかでも豆腐や野菜を中心としたよりヘルシーな“ベジ薬膳”を提唱する。薬膳料理教室を主宰し、講師育成の薬膳講座を全国で展開。レストランへのレシピ提供や企業との商品開発など活動は多岐にわたる。著書も多数出版し、『身近な10の食材で始める薬膳ビューティーレシピ』(講談社)、『5色の野菜でからだを整えるべジ薬膳』(キラジェンヌ)で、グルマン世界料理本大賞グランプリを2度受賞。「東洋美食薬膳協会」代表理事、「全日本薬膳食医情報協会」名誉顧問、「日本豆腐マイスター協会」理事、薬膳料理教室「Salon de Maman」主宰。国際中医師。

●谷口ももよ公式サイト https://yakuzen-salon.com/
●東洋美食薬膳協会 https://orientalyakuzen.com/

次の話を読む【谷口ももよの“一日一薬膳”】 ポリフェノールの抗酸化作用を味方に。 冬こそ、あなたを守る“黒いもの”!

← この連載をはじめから読む