僕が「成功しているな」って思うのは、結局「人生を楽しんでいる人」なんです

 AAAがデビューした16年前は、音楽で成功するためにはCDデビューが必須で、ダンス・ヴォーカルグループは特に、そのセールスを伸ばしていくことが求められていた。それが、配信、サブスクと音楽の届け方が激変すると、今度は、ライブアーティストとしての真価が問われる時代が到来。AAAは、男女混合のパフォーマンスグループとして、幅広い層にアピールし、年々ツアーの規模を拡大させてきた。

 そして2020年は15周年を記念したドームツアーが新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の厄災によって実現しないまま、AAAの活動は休止になった。

 インタビュー後半では、10代の頃からたくさんの難局を乗り越えてきた與さんに、仕事論、人生観について聞いた。(全2回の2回目。前編より続く)


「みんなのような青春時代は送れなかったけど後悔はない」

 AAAはテレビにたくさん出る方じゃないし、本当にライブを通して、徐々に徐々にファンを増やしていって、会場もどんどんデカくなっていった。積み重ねを大事にしながら成長してきたグループでした。でも、AAAが拡大するのに、SNSの存在は不可欠だったと思う。SNSがここまで普及していなかったら、今のこの、ファンの近くにいられる感覚はなかっただろうし。

 僕は、「SHINJIRO channel」っていって、動画配信プラットフォームの「オープンレック」でファンのみんなとチャットしたりもしてるんです。いつでも生配信できる体制はすごくありがたい。

――グループとソロでの音楽活動は休止されても、エイベックス所属であることは変わらないんですよね?

 はい。エイベックスには部署がいっぱいあって、僕がソロでのアーティスト活動を休止する発表をしたタイミングで、AAAとはまた違ったチームで、新しいチーム体制が出来上がりました。今はみんなで話し合いながら、新しいことを探っている最中です。

 だから音楽以外の仕事は今まで通りチームでやっていくんですが、僕の仕事に対する意識が前と明らかに変わったのは、自分のプライベートも大事にしていきたいなと思っている点です。

 早くから仕事をして、みんなが送るような青春時代は送れなかったけど、別にそのことは後悔していない。早くから働いたから今があると思っています。ずっと休みなく働いて、いろんなことがあった。それを経験しての今なので、最初からこの状態だとありがたみも何もなくなっちゃいますからね(笑)。人とのつながりの大切さや仕事の有り難みを感じられるのは、色々経験したからこそ、です。

 ただ、これからはもっと人間らしく生きたいかな(笑)。今までが人間らしくなかったわけじゃないけど、日本にいたらどうしても、「芸能人」「有名人」扱いをされてしまうので。それに、もしあの時僕が海外行かなかったら、今こういう「どうやったって生きていける」みたいなマインドにはなってなかった。もっと切羽詰まっていたと思う(笑)。「AAAが休止するなんて、どうしよう?」って。

 アーティストの仕事は達成感もあるし、前に進んでいる実感もある。僕は完璧主義者なので、仕事が決まったら、それに向かって一直線になってしまっていて、LAに行く前はものすごく視野が狭かったなと、自分でも思います。

2021.08.10(火)
文=菊地陽子
撮影=榎本麻美
ヘア&メイク=佐藤真希
スタイリスト=後藤泰治 (SMB International.)