この地を旅した人々が“浄土”とたとえた気持ちに納得

 青の洞窟を出たのち、さっぱ船は浄土ヶ浜の岩塊の前をなぞるように進みます。

 霊鏡和尚が建立したとされる子安地蔵や、「賽の河原」と命名された浜など、環境保護のために上陸はできないものの、船長から説明を受けながら船上から見上げる岩塊には迫力があります。

 なかでも「剣の山」と呼ばれる、ギザギザと切り刻まれた岩塊は、岩肌の白さと光の加減からか、どこか氷山のようにも見えます。

 自分がどこにいるのかわからなくなる、ハッとする美しさ。霊鏡和尚をはじめ、ここを旅した人々が“浄土”とたとえた気持ちに納得です。

 そして桟橋へ戻る帰り道、ウミネコたちの大歓迎を受けます。エビせんを空に投げると、次々とキャッチ。中には手っ取り早く、船のヘリに乗ってくる子も。

 人なつっこいウミネコたちも浄土ヶ浜に欠かせない名物です。

浄土ヶ浜

●アクセス JR盛岡駅より直行の106バスで約2時間15分


【取材協力】

宮古観光文化交流協会 https://www.kankou385.jp/
浄土ヶ浜マリンハウス http://www.j-marine.com/

古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

Column

古関千恵子の世界極楽ビーチ百景

一口でビーチと言っても、タイプはさまざま。この広い世界に同じ風景は一つとして存在しないし、何と言っても地球の7割は海。つまり、その数は無尽蔵ってこと? 今まで津々浦々の海岸を訪れてきたビーチライター・古関千恵子さんが、至福のビーチを厳選してご紹介します!

2021.03.13(土)
文・撮影=古関千恵子